minsha 「とおる雑言」

「停戦」を唱えていれば平和? 寺井徹(母子福祉協会副理事長)

十月二十二日、G7のうち日本を除く米英独仏伊加の6カ国が「共同声明」を発表した。ハマスの奇襲並びに拉致を批判するとともに人質全員の解放を要求し、さらにイスラエルの自衛権を支持した上で、国際人道法の順守を求めている。

対して松野博一官房長官が、記者会見(十月二十三日)で「6カ国は誘拐・行方不明者など犠牲者を出した国」と発言。一方で北朝鮮による日本人拉致被害者の救出を国際社会に求めていながら、今回は日本人被害者がいないから共同声明に参加しなかったというのなら納得できないとの声も。同感!

また、フランスはアメリカに全面同調するのではなく自主性を発揮しているが、日本はアメリカ一辺倒と批判する人もいる。

この点については、日本は原油を中東に依存し、核防衛はアメリカに委ねているのであり、フランスは原子力発電でエネルギー自立に務め、核武装国家でもある。何よりもアメリカとは白人(現在は有色人も多いが)国家としての連帯感がある。旧敵国である日本とは立場が違うと指摘しておきたい。

今回のイスラエル・ハマス戦争で、自衛隊機がイスラエルに在留していた邦人ほかの避難輸送を行った。よかったですね。率直に喜ぶ。かつて「自衛隊機派遣は海外派兵につながる」と反対していた人がいたが、いまはその人たち、どう思っているのであろうか。

アメリカは中東に空母打撃群を派遣して、拡大抑止に努めている。日本には「平和や停戦」を唱えていれば解決できるという人がいる。「あーあ!」ただただ嘆息である。

(「とおる雑言」二〇二三年十一月)