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【憂国の直言】日本政府は韓国の歴史教科書の「嘘」を糺せ (慰安婦問題を巡る「第二回日韓合同シンポジウム」を終えて)  国際歴史論戦研究所 上席研究員  松木國俊 

去る9月5日、ソウル市内の韓国プレスセンターにおいて、慰安婦問題の嘘を追及する「第二回日韓共同シンポジウム」が開催された。昨年11月に東京で開催された第一回目に続く今回は、日本側メンバーが、慰安婦問題を巡って「敵地」とも言うべき韓国に乗り込み、直接韓国の人々に真実を訴えるという意欲的で大胆な企画が実現したものである。

日本側からは麗澤大学特任教授西岡力氏、国際歴史論戦研究所山本所長及び筆者の3名、韓国側は元延世大学教授柳錫春氏、落星台経済研究所研究員李宇衍氏、国史教科書研究所所長金柄憲氏の3名が登壇した。

会場には日韓の国旗が掲げられ、冒頭で「国民儀礼」として両国の国家斉唱が行われた。ソウルの公共の場で「君が代」を堂々と歌えたことは、半世紀以上に亘って韓国と接して来た筆者にとって感無量であった。

日本からは登壇メンバー以外に国際歴史論戦研究所杉原誠四郎氏が同行して祝辞を述べ、本紙「やまと新聞」を主宰しておられる土屋隆之氏ご夫妻や同紙編集長山本へるみ氏など13名の「応援団」の来援を仰いだ。

シンポジウムでは各登壇者がそれぞれの研究結果に基づいて慰安婦問題の「嘘」を糾弾した。筆者も左傾化した文科省教科書検定の実情を報告するとともに、戦前・戦中に悪徳業者が朝鮮の女性を不法な手段で中国に売り飛ばし、それを日本の官憲が救出していた実態を当時の新聞記事を基に明らかにした。

最後に金柄憲所長より現在の韓国の小中高歴史教科書の記述内容が発表されたが、そのあまりの歪曲・捏造ぶりに唖然とするばかりであった。以下その一部を引用する。

中学校用『歴史』(飛翔)には次のように記述している。

「女子挺身勤労令を下し、女性たちまで動員したが、多くの女性たちを日本軍慰安婦として連れて行き大きな苦痛を経験させた」「強制的に動員された韓国人のほとんどは戦争中に犠牲となり、生き残った人々はその後遺症で戦後精神的・肉体的苦痛を強いられた」

高等学校用の歴史教科書となれば慰安婦関連の記述は詳細を極めている。まずリーベル社の内容はこうだ。

「日帝が侵略戦争を遂行しながら犯した最も反人道的行為は、女性を戦場に強制動員したことだった」「日本軍は朝鮮をはじめ、中国、東南アジアなどで数十万の若い女性を日本軍慰安婦として強制的に連れて行き、性奴隷生活を強要した」「日本の官憲が関与する中、日本軍は数多くの女性を拉致したり誘拐したりして、日本軍慰安婦として動員した」「1944年には女子挺身勤労令を公布し、12歳以上40歳未満の女性を後方の兵站支援人材として動員した。この時、挺身隊等名目で強制徴発された人々の多くが日本軍「慰安婦」として連行された」

 次に東亜出版の高等学校用教科書至っては次のように書いている。

「被害者たちは殴打や拷問、性暴力などで一生治癒しにくい苦痛の中で生きなければならず、一部は反人倫的犯罪を隠蔽しようとする日本軍により虐殺されたりもした」「慰安婦が逃走する場合、日本軍が直接追撃して逃走した慰安婦を射殺したりもした」

上記に例示した以外の教科書についても慰安婦関連記述は大同小異だ。だがこれらはすべて嘘である。女子挺身勤労令は朝鮮では発令されておらず、志願して工場で働いた女性はいたが慰安婦にされたという例は一件もない。女性を拉致したり誘拐したのは朝鮮人悪徳業者であり、日本の官憲がこれを救出していたのは、筆者が明らかにした通りである。

虐殺行為などあろうはずがなく、金柄憲所長が韓国外交部(外務省)に対して「慰安婦虐殺の証拠があれば公開せよ」と請求したが、外交部の回答は「情報不存在」であった。虐殺された慰安婦など存在しないということである。

以上の通り、韓国の教科書はあらゆる「嘘」を書いて日本に対する憎悪を子供たちに植え付けており、彼らは日本を心から憎む「立派な愛国的韓国人」へと成長することになるのだ。一方、日本の教科書には「日本人は朝鮮や中国を侵略し女性を性奴隷にした残虐で悪い民族である」という主旨の自虐的歴史観が書かれている。

その結果どのようなことが起きるか。2023年9月19日中央日報日本語版に「道行く男性から『石で打ってやる』激しい暴言…韓国に来た日本ユーチューバー、涙が爆発」という見出しで掲載された記事を要約引用する。

(引用開始)

ユイピョンは韓国で活動する日本人クリエーターで、彼女のYouTubeチャネル「ユイピョンYUIPYON」のチャンネル登録者は61万人を誇る。該当映像でユイピョンは他の日本人クリエーター「ユスピョン」と共に韓国を旅行していた。

映像の中の問題の場面は、一人の道行く男性がユイピョンに対して先に「どこから来たのか」と話しかけたことから始まった。ユイピョンが「日本から来た」と答えると、この男性は「私は北朝鮮の人間だが脱北して韓国に来た」と紹介した。当初ユイピョンは「本当に北朝鮮の人か」として不思議に思うような素振りを見せた。

問題は次からだった。男性は「南北は同じ民族ではないか。一番嫌いな国がどこか知ってるか」と声を荒らげ、ユイピョンはぎこちなく笑いながら「日本」と答えた。すると男性は「そうだ」というと、突然「日本人を全員殺してやりたい」「こてんぱんにしてやりたい」と言いながらユイピョンに対して暴言を浴びせ始めた。

慌てたユイピョンが「それでも私たちは韓国が好きでここに来た」と言うと男性は「韓国人にそういうことは言うな。石で打ってやるぞ」などの荒々しい言葉を続けた。男性は「(韓国が)31年間日本のものになって生きることになったじゃないか」と話を続けた。結局耐えられなかったユイピョンが「それは知っているが言葉がひどすぎる」と反論したが、男性は「ひどすぎるのではなく恨(ハン)が染み付いているんだ。日本が一番嫌いだ。「祖父が日本人のせいで死んだ。孫として恨が染み付いてるからだ」と声を高めた。これに対してユイピョンは「日本人として本当に申し訳ない」と謝って結局涙を爆発させた。

だが、男性は暴言を止めなかった。続いて「独島は韓国のものだ」「韓国から出ていけ」「もう二度と韓国の領土に来るな」と言って、最後には激しい悪口まで浴びせて去っていった。男性が離れた後もユイピョンは涙を止めることができなかった。その一方でユスピョンを向かって「それでも間違った話じゃないよね」といってため息をついた。

(引用終わり)

少し長くなったがこのやり取りがすべてを物語っている。これが今の日韓の現状なのだ。

韓国文化には「過去を水に流す」という観念がない。祖先が受けた(と信じ込まされている)屈辱は仇の子孫を同じ目にあわせるまで晴らすことが出来ない。片や自虐史観に染まった日本人は何の反論もできずひたすら這いつくばって許しを請うばかりである。これでは孫子の代、いや千年先までも我々の子孫は韓国人の前に土下座を強いられ、日本民族は屈辱に塗れて衰亡して行く以外にない。それこそが韓国の復讐であり、代を継いで行われている反日教育の目的がそこにあるのだ。

だがこのような歪な関係は韓国にとっても良いはずがない。まして中国、ロシア、北朝鮮の脅威が迫りくる中で、日韓が協力しなければ両国は共倒れとなる恐れすらある。

今回日本と韓国の真の愛国者同士が手を組み、真実の歴史を取り戻して、韓国人の胸に刺さった「恨みのトゲ」を抜くための戦いに立ち上がったのも、その危機感を共有しているからである。

こここで岸田首相に申し上げる。この戦いは本来日本政府がやるべきことなのだ。韓国の歴史歪曲をここまで許してしまったのは、ひとえに日本政府の責任である。必要のない「近隣諸国条項」を設けて韓国に媚びる教科書を作り、一方で韓国の教科書が書きたい放題の嘘を書いても何ら抗議一つ行ってこなかったではないか。「近隣諸国条項」を作るなら少なくとも「相互主義」でなければならない。日本が韓国に配慮するなら、韓国も日本に配慮して「嘘」に塗れた反日教育をやめるべきではないか。

中国・ロシア・北朝鮮の専制国家の脅威に対抗して、日米韓の連携を強化するためには日韓の間に真の信頼関係を築かねばならない。韓国に対し反日教科書の是正を即刻申し入れることこそ、対韓政策の一丁目一番地なのだ。

以上