minsha 「とおる雑言」

「武器は出せません」で済む話か 寺井融(母子福祉協会監事)

「政府安全保障能力強化支援(OSA)」が始める。目的は同志国(当初はフイリピン、マレーシア、バングラデシュ、フィジィー)の安全保障に役立てるため。「同志国」の概念をいれたのは評価できる。

どだい「武器輸出三原則」なんてナンセンスなのだ。それが「防衛装備移転三原則」と代わってきているが、依然として「殺傷兵器を他国に供与してはならない」の原則は、生きているようである。

そこで「殺傷兵器」とは何か。包丁は料理にも殺人にも使える。ランドクルーザーだって、戦争においては移動手段として活用される。ビデオやカメラなど日本製民生品も兵器の重要部門を担っていたりする。

台湾で「日本が政府開発援助(ODA)で援助することが中国に余裕を与え、台湾を標的とするミサイルを配備させていることにつながる」と指摘されたことがある。

来たる広島G7で、ウクライナのゼレンスキー大統領がオンライン参加されるという。各国からの武器供与に感謝し、日本には「救援物資ありがとう」と言われ、続けて「いっそうの武器支援」を要請された場合、「日本は殺傷兵器を出せません。禁じられていますので」と答えるのか。

「この期に及んで恰好をつけている」と各国に蔑まれるだろうな。同じ敗戦国のドイツは憲法改正も行い、戦車を供出している。日本には一〇(ヒトマル)式戦車という高性能兵器を保有しているのだが……。

日本が侵略された場合、各国に武器弾薬を求めるか。それとも平和を叫び、死んで行くか。(「とおる雑言」二〇二三年四月)