seikei「なるほど、なっとく政経塾」

なるほど納得政経塾-78 「核兵器恫喝に屈してはならない」  経済学博士 小山和伸(神奈川大学経済学部教授)

世界第三位の核保有国だったウクライナ

 ウクライナのグレンコ・アンドリー氏の提供資料によれば、1991年12月ソビエト連邦崩壊後のウクライナには、核弾頭1,240発、大陸間弾道ミサイル176発があった。通常戦力でも、兵員780万人、戦車6,500輌、戦闘車両7,000輌、大砲7,200門、軍艦500隻、軍用機1,100機を保有していたという(『ウクライナ人だから気づいた日本の危機』育鵬社2019)。ウクライナがかくも重武装化されていたのは、ソビエト政府がウクライナ地方を、ヨーロッパ・NATO諸国と対峙する、最前線地域と捉えていたからである。

 ところが、独立後には米露による核兵器放棄圧力がかかり、独立間もない経済的混乱の中にあったウクライナ政府は、3年以内の核兵器全廃を認めざるを得なかった。この時、引き換えにウクライナの領土保全を米・英・露が協力して保証するという、議定書が交わされた。これが、ロシアによって反故にされたことは言うまでもない。

 通常戦力の縮小も甚だしく、2013年頃には陸軍兵力は十分の一以下に、海・空軍勢力はほとんど無きに等しい状況となったという。それは、ロシアへの武器の返却や、軍事予算の縮小の他、途上国への武器輸出、そして何よりも深刻だった根本的な原因が、軍内部のモラルの低下、汚職や横領等の組織的腐敗にあったのだという。これが、ロシア侵略を招く誘因となったことは間違いない。

記事の続きは有料会員制サービスとなります。

2023年3月より新規会員は新サイトで募集しています。
こちらでご覧ください。

Yamatopress Web News

やまと新聞は日本人による日本のための新聞社です。
会費は月額350円(税込)です。全ての記事・コラムがご覧いただけます。

会員の方はこちら