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【なるほど納得政経塾】-76 「選択的徴兵制度」  小山和伸(神奈川大学経済学部教授 経済学博士)

継戦能力の戦略的要因

 戦略的要因とは、全体を支える枢要点となる要素を意味する。継戦能力を維持する枢要点としては、武器・弾薬・食料等々があるが、無視できない重要な要素は訓練された兵員である。戦争の継続によって消耗される要素は、食料や弾薬・武器などの他に兵員がある。それも教育機関がかかる、熟練した兵員の補充は容易ではなく、正に勝敗を決する戦略的要因となっている。

 戦争の勝敗は、練度と士気を含む人的要因、技術力を含む武器・弾薬・食料の兵站を意味する物的要因、そして情報で決まる。先の大戦、大東亜戦争の戦況を反省してみると、既に開戦以前から我が国の暗号がアメリカによって解読されていた事実は、致命的な敗因に違いなかった。物量における彼我の差は言うまでもなく、太平洋の孤島に孤立したわが軍の飢餓は猖獗を極めた。

 開戦当初の快進撃が、ゼロ戦や酸素魚雷などの新兵器と士気のすこぶる高い熟練兵士の勇敢な活躍にあったことは明らかであるが、米軍の技術革新とわが軍の熟練兵士の消耗によって、戦況が次第に不利になったことも明らかである。特に、ミッドウェー海戦で多くの熟練パイロットを失ったことが、大きな敗因となったと言われている。いま、パイロットを例にとって、兵士の熟練がいかに勝敗の枢要点となっているかを考えてみよう。

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