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【とおる雑言】 狂熱の中での「新法」に疑義あり 寺井徹(母子福祉協会監事)

「旧統一教会からの被害者救済」を目的とする「新法」が成立する。

発端は、安倍元首相の狙撃犯が旧統一教会の「宗教二世」で、母が信仰する同教団に恨みを持ち凶行に及んだ、と述べたこと。「新法」で効果を発揮すれば、テロリストの目的を達成させたことにつながる。現行法で取り締まることはできなかったのか。

本来なら、信教の自由、政治活動の自由、いわゆる「宗教二世」問題など、多角的に論じなければならない。それには憲法問題もからむ。宗教法人法の改正だって、必要となるかもしれない。

かつてオウム真理教と真理党、いまの創価学会と公明党、幸福の科学と幸福実現党などのほか、いわゆる宗教団体と政党との関係は、与野党問わず幅広く存在する。それらの解明も、肝要となるであろう。

魔法の壺商法が怪しからんというなら、墓苑や仏壇はどうか、お札や御神籤(おみくじ)だって問われることになる。信ずるものは救われると言われても、門外漢には、ただの紙切れに過ぎないのだから‥‥。

親が子に影響を及ぼすのが許せないのなら、「宗教二世」だけではなく、「党員二世」や「ギャンブル二世」にも、問題は存在する。現在の狂熱は、「宗教はアヘン」と考えるマルキストが敵対勢力狩りに狂奔しているとも思えるし、わが身に火の粉が振り返ってくるのを恐れる勢力が消火を急いでいるとも言える。いずれにせよ魔女狩りにも似た熱気の中での「新法」には疑義を感じる。早晩、見直しが迫られるかもしれない。(「とおる雑言」二〇二二年十二月)