araki「拉致問題の闇を切る」

拉致問題の「解決」 荒木和博(特定失踪者調査会代表)

 政府の言う「拉致問題の解決」とは具体的に何を意味しているのでしょうか。可能であればどなたか国会で質問していただきたいと思います。

 「拉致・核・ミサイルの包括的解決」と言います。しかし、例えば核ミサイルが日本に着弾し、何万人かが亡くなったとして、それでも「核・ミサイルを解決する」と言うでしょうか。 

 「解決」という言葉は、解決した後に元の状態に戻せることを言うのであって、核ミサイルが着弾したらもう「解決」は不可能です。広島・長崎の原爆投下の問題を「解決」できないのと同じように。もちろん北朝鮮が核・ミサイルの開発を止めれば「解決」にはなります。しかし、既に長年に渡って被害が出ている拉致問題の場合、元に戻すことは絶対にできません。今日被害者が帰ってきてもその人にとって拉致をされてからこれまでの月日は取り返しがつかないし、20年前に帰国を果たした5人ですら、それまでの24年間は取り返せません。

 ちなみに彼らの失われた24年間については誰も責任をとってはいません。北朝鮮はもちろん、拉致をされて取り返せなかった日本政府も。日本政府がやったのは帰国後の生活支援だけです。拉致被害については何の補償もしていないのです。

 「認定の有無にかかわらず全ての拉致被害者の帰国を」と総理も担当大臣も念仏のように唱えます。しかし現実には誰が拉致被害者なのか、日本政府は把握していません。政府認定の17人で、国民が誰も知らなかったのに政府が「拉致されている」と発表した例はありません。「北朝鮮側に説明責任があるのではないか」と言ってもどうせ北朝鮮の言うことは嘘ばかりなのですから、たとえ何人か認めても全部を出すはずもなく、そもそも北朝鮮当局ですら何人拉致したのか全部を把握しているとは思えません(いくつもの機関が拉致をしており、横の連携はないでしょうから)。

記事の続きは有料会員制サービスとなります。

2023年3月より新規会員は新サイトで募集しています。
こちらでご覧ください。

Yamatopress Web News

やまと新聞は日本人による日本のための新聞社です。
会費は月額350円(税込)です。全ての記事・コラムがご覧いただけます。

会員の方はこちら