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【論説・コラム】「勝てば勝利」とは限らないスポーツビジネス

面白さか、勝ち負けか――スポーツ界では昔から興行と実力を巡る論争が続いてきた。

 

総合格闘技(MMA、Mixed Martial Arts)の概念を生み出したとも言われるアントニオ猪木氏(10月1日に79歳没)の異種格闘技戦は論争の火種となった。1976年6月、プロボクシング世界ヘビー級チャンピオンのモハメド・アリとの対決。世界の注目を集めた一戦は、興行的な成功を収めたものの、「プロレスこそ格闘技の頂点」と主張する猪木氏は終始、仰向けでキックを繰り出す奇策を展開。一撃必殺の決着を期待していた観客は「世紀の凡戦」と評し落胆した。

 

柔道界では、本来の1本勝ちという魅力を否定するかのような指導や注意、警告など審判の厳格化によって、ダイナミックな技を磨く選手よりも小手先の技でごまかす選手が増え、競技そのものの性格が変貌した側面がある。

 

角界では、記録に残る大横綱白鵬が、猫だましやかち上げを繰り返す、横綱にあるまじき不意打ちの禁じ手を繰り返して勝ち星を重ね、記録とは反比例して大相撲人気そのものが凋落したことは記憶に新しい。

 

球界では、1986年から在任9年間で8度のリーグ優勝、6度の日本一に導いた森祇晶・西武監督時代の堅実なバント野球は、実力と裏腹に「つまらない試合」と評され人気がなかった。同様に、優勝請負人ながら、球団に期待ほどの金運を招かなかった落合博満・中日監督も、球団の要望に見合う活躍ができなかった不遇の監督といえる。

 

逆に人気ばかり先行し、実力が追い付かないのが現在の新庄剛志・日本ハム監督だろう。球団にとっては「金のなる木」ではあるものの、負けが込むと地元メディアやファンが不満を抱き、やがて交代要求に発展しかねない。

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