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日本の教育を駄目にしているのは・・・ 安東歩太(あんどう あゆた/塾・予備校講師)

かつて、戦後日本の教育問題は「文部省」対「日教組」という図式で語られることが多かったが、果たして文部(科学)省が木賃とした教育を提供してきたのであろうか。『新しい歴史教科書』(自由社)の検定不合格処分等、実は文部(科学)省自身がサヨクに擦り寄っているのではないか。

筆者(昭和49年生まれ)の本棚に文部省検定済『小学社会 6上』(教育出版)がある。高校卒業後迄「55年体制」の中で育った所謂「団塊ジュニア」世代が使った教科書である。

日韓併合後、学校では朝鮮人に対し日本語を習わせたとだけ記述しており、当時識字率が低かった彼等に朝鮮語も教えたという事については一切書かれていない。関東大震災後、朝鮮人テロリストによる暴動が発生していたことについては触れられておらず、朝鮮人が暴動を起こすというデマが流れ、何の罪も無いおびただしい数の朝鮮人が虐殺されたとだけ記述されている。

占領憲法についても日本国民が自分達の力で新しい日本をつくる第一歩を踏み出したとし、GHQがしでかした事に関する記述がない。(当時の自筆ノートも残っているが、この時、「もう戦争はしない。こんな素晴らしい憲法を持っているのは日本だけ。」と書いてある。教師が板書したのか喋ったのかは定かではないが。)

原水爆禁止運動にかかわった母親達が平和の為に「日本母親大会」を開いたと書かれているが共産党と結びつきが深い団体が多く参加している同大会の政治色が隠されている。

紙幅の関係でほんの一部をかいつまんでみたが社会のこともじゅうぶんにわかりきっていない小学生にしてこれだけのことが脳裏に刷り込まれていたのである。偏向教科書は中学、高校へと続く。

当時共産党支配下にあった私立高校卒業生からきいた話では、その高校の日本史の授業では、山川出版社や東京書籍の教科書でさえ使用せず、共産党系出版社の『日本歴史』という本を用いていたという。伝習館高校事件の裁判についての報道もみていたがサヨク的な社会科教師は教科書を使わずに独自の教材を用いて授業をするものだと思い、文部省検定済教科書の記述がまさかサヨク的だとは思ってもみなかった。

日本という国は、前近代は一部の権力者だけが贅沢三昧に暮らし、とりわけ農民は虐げられ、ときたま一揆や打ちこわしで立ち上がる。明治維新以降はひらすら侵略戦争に明け暮れ国民に自由はなく、戦後になりようやく平和で民主主義の国になった。このような錯覚に陥ってしまっている日本国民(日本民族)は多いのではないか。勿論これは教育だけの問題ではない。自虐史観に基づく数々の偏向番組を制作してきたマスコミ等、責任は重い。

しかしインターネットの普及でとりわけ若年層のテレビ離れが急速に進み、様々な情報に触れる機会が増えてきたことは大きい。「保守化する若者」というのは、単なる流行りでも現象でもなく、真実に触れる機会が増えたことに他ならないと思う。

旧敵国によるプロパガンダを捨て、「ずっと国民に寄り添っていただける天皇、皇后両陛下のいらっしゃる日本という国に生を受けたことを幸せに思います。」(北野武氏:天皇陛下御即位三十年奉祝感謝の集い)と心から思える、日本国に誇りを持つ事が出来る教科書の普及が急がれるところである。