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【なるほど納得政経塾】-73- 「イスタンブールの潮風」 神奈川大学経済学部教授 経済学博士 小山和伸
要衝の大都市イスタンブール
トルコ共和国の首都はアンカラだが、イスタンブールは欧・中東地域でも最大級かつ最古級の大都市であり、黒海とマルマラ海を結ぶボスポラス海峡両岸に跨る要衝の地である。今年2月のウクライナ戦争後、ロシア軍による黒海封鎖によりウクライナ産穀物数百万トンが、ウクライナに滞留している。これによって、輸入主要国である中東・アフリカ諸国に飢餓が発生しつつあり、世界的な穀物価格の上昇が始まっている。
そこで、トルコのエルドアン大統領はグテーレス国連事務総長と共に、ロシア・ウクライナ両国に仲介の労を取り、ウクライナのオデッサ港から黒海を南下し、ボスポラス海峡経由でマルマラ海に出て、さらにダーダネルス海峡を経てエーゲ海、そして地中海に至る海運ルートによる輸出再開の合意にこぎつけた。
7月22日に署名された穀物輸出再開合意は、1. ロシアは黒海に面したウクライナの港を攻撃しない。2. 機雷水域の安全誘導はウクライナ側が行う。3. 密輸検査はトルコ側が行う。4. ロシア産穀物や肥料の輸出も可とする、という四項目からなる。が、何と合意翌日の23日、ロシアは黒海に面するウクライナの貿易拠点、オデッサ港にミサイル攻撃を仕掛けた。
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