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「大英帝国女王エリザベス二世陛下崩御」 村田春樹(いまさら聞けない皇室研究会顧問)
女王陛下が崩御された。宝算数えて96歳、ご在位70年。世界中の王室で最も長い治世を誇っていた。
本題に入る前に言いたいのは、相変わらぬマスコミの君主に対する敬語のひどさである。日本の天皇皇后皇太后については崩御と決められている。(上皇上皇后については未定。勿論崩御となるだろうがそういう話題すら挙げてはいけないので未定である)
平成12年に皇太后(香淳皇后)がお亡くなりになったが、この時も正式には崩御である。読売新聞産経新聞は崩御と報じたが、他紙はご逝去である。逝去は本来は皇族ではない臣下について用いられるものである。例えば「安倍元首相逝去」のように用いられる。余談だが安倍元首相の時は死亡または死去と報じられている。
外国の王族についても同様で、国王王妃王太后に加えて退位された後の元国王についても崩御とするのが正しい。宮内庁も外務省もそうしている。但し平成28年にタイ王国のブミポン国王(ラーマ9世)が死亡したときは、なぜかご逝去となっている。タイ王室庁の文書の非公式日本語訳では「崩御」が正しいのだが、大使館のウェブサイトでは「ご逝去」が使用されたのだ]。ついでだが天皇皇后皇太后以外の皇族については薨去が正しい。宮内庁は例えば「高松宮妃殿下薨去」と発表するがマスコミは逝去である。ちゃんと薨去としてほしいのだが、朝日新聞を筆頭に、皇室に対して敬語を一切使わない方針なのでしかたがない。ついでだが外国の王族のなかで陛下のつかない殿下の死去についても宮内庁も外務省も薨去を使っている。令和3年のエジンバラ公フィリプ殿下に対して我が菅岸田も岸田外相も薨去の字を使っている。
しかるに今回のエリザベス女王の崩御については各紙とも死去である。これは何を意味するのか。言うも憚られるが敢えて言わざるを得ない。来たるべき上皇上皇后陛下のときに、マスコミは絶対に崩御を使わない、使いたくないという意思表示なのである。マスコミは「上皇が死去した」と報ずるだろう。皇族への敬称については拙著「いまさら聞けない皇室のこと」展転社1500円をご参照ください。
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