araki「拉致問題の闇を切る」

―論点がずれている安倍総理襲撃事件― 荒木和博(特定失踪者調査会代表)

 安倍元総理を襲撃した山上徹也が旧統一教会への強い敵意を持っていたことから、いつの間にか本質的な問題は横に置かれて統一教会のことだけがクローズアップされてしまいました。「誰々議員は統一教会」と関係があるとか、「いや私は関係ない」とか、大騒ぎです。

 問題は白昼に元総理大臣が銃撃されて亡くなったことにあります。今騒いでいるのはよってたかっての魔女狩り、あるいは意図的に焦点をずらしているように思えます。左翼リベラルからすれば最も憎むべき政治家だった安倍晋三元総理を「統一教会と関係していたのだから撃たれて当然だ」という方に持って行きたいのでしょうし、警備について決定的なミスをした警察も自分たちの責任から目をそらす格好の材料です。

 統一教会と強い結びつきのあった国際勝共連合の主張はその名の通り反共産主義でした(勝共連合に入ってくる人も統一教会から来る人と反共ということで来る人と両方いたと聞いています)。その点は私がかつて在籍した民社党とも通じるところがありました。大なり小なり選挙のときに支援を受けていた政治家は保守系の人なら少なくないのではないでしょうか。民社党でも支援を受けた議員は何人もいました。

 勝共連合の支援のもとに作られた劇映画に「鳥よ翼を貸して」と「黒猫を追え」があります。前者は北朝鮮の帰還事業が題材、後者は北朝鮮の工作活動を描いたもので、どちらも秀作です。スパイ防止法制定の運動も、「勝共がやっている」ということで逆にブレーキがかかった面がありますが、今日の状況を考えるとそれ自体は間違いではなかったと言えるでしょう。

 旧統一教会系の新聞「世界日報」の北朝鮮情報はたびたび注目すべきものがあります。最近でも6月28日付では脱北者の証言として一面トップで拉致被害者に関する情報を掲載してくれています。

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