kokutai「日本への回帰」「揺るぎなき国体」
【日本への回帰】 日本の米文化と西洋のパン文化1 荒岩宏奨(展転社代表取締役)
天孫降臨のとき、天照大神から稲の穂を賜り、瓊瓊杵尊たちは地上に降りてきた。天照大神からの贈り物が稲、すなはちお米であったといふことは、文明や文化にも大きな影響を及ぼしてゐる。現在では、お米は完全食であることが栄養学的に証明されてゐる。完全食といふのは、人間が生きていく上で必要な栄養素がそろってゐるといふことだ。ただし、完全食なのは玄米であって、白米ではない。現在のやうに精米して白米にしてしまふと、ビタミンが不足してしまふさうだ。江戸時代には脚気が流行したのだが、その原因は精米して白米にして食べるやうになったためのビタミン不足だとされてゐる。
日本神話には、天孫降臨以前の高天の原の神々と地上の神々との争ひの物語が描かれてゐる。日本浪曼派の保田與重郎はこの国譲りと天孫降臨の物語の意味を、西洋文明の芽生えを否定して、米作りの生産生活を選んだといふ思想的な意義があると解釈した。そして、その米作りの生活を教へて広げていくことが八紘為宇なのだとしてゐる。したがって、保田與重郎や日本浪曼派にとっての大東亜戦争とは、西洋文明を否定して、米作りの生産生活を広げていくといふ、国譲りと天孫降臨の拡大だったわけだ。だからこそ林房雄の『大東亜戦争肯定論』は、西洋との衝突がはじまった幕末から大東亜戦争に突入したと考へてゐるのではないだらうか。
日本浪曼派は、西洋近代を批判して日本への回帰を訴へた。では、近代とは何なのか。
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