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【なるほど納得政経塾】-73- 「問われる日本の独立存続」   小山和伸(神奈川大学経済学部教授 経済学博士)

引き続く大幅円安の根本的原因

 現在、アメリカの金利上昇が今後抑制的になるとの予測から、円を買い戻す動きが出て、円安傾向は一時反転しているようであるが(7/29 $1=\133)、2021年7月に、1ドル110円台で推移していたことを考えると、円の対ドル価値は一年間で20円以上低下していることになる。直近で最安値を付けた7月14日では1ドル138.9円だったから、円価値の下落が一年間でほぼ30円に達したことがわかる。

 この円安傾向は、単にアメリカの金利上昇のみを原因と考えることはできないのではないか。なぜならば、今年2月24日のウクライナ戦争勃発以降、円安基調が進んでいるからである。例えば3月期122円台、4月期130円台というように、国家主権の軍事的危機に対する世界的な意識の高まりと、円安という「日本売り」が連動しているように見える。

 かつて「危機に強い円」と言われ、経済不況下において円が頼られる場面があった。世界経済の不安なとき、経済力とものづくりに強みを持ち、また契約や債務履行遵守の基本姿勢に優れた「日本買い」が選好されたからである。

 しかしながら、今回のウクライナように軍事的侵攻によって国家の独立と存続が危ぶまれるような危機に対しては、日本は世界の投資家からとても安全な投資対象とは見なされていないと言うことなのではないだろうか。

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