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【調査研究レポート】正しい「東京都平和祈念館」の建設をすすめる議員と市民の会 代表 土屋敬之
「鹿屋航空基地史料館」視察(7月16日)
・史料館概要
鹿児島空港から車で約2時間30分、高速道路の東原インターチェンジから約15分のところにあります。
近くに電車が走っていないので、アクセスするには不便な場所です。
現在は新型コロナ感染予防のため、予約制になっていました。
自衛隊の敷地内にあり、広いスペースで、屋外にも海上自衛隊の航空機が十数台展示しています。
・展示構成
展示の全体構成は「海軍航空」と「海自航空部隊」の2部構成。
史料館は2階建てで、2階展示室が「海軍航空」で海軍に関する展示、1階展示室が「海自航空部隊」で海上自衛隊の展示になっています。
2階の「海軍航空」展示室は、「海軍精神コーナー」「海軍航空隊の発展コーナー」「劈頭の航空作戦コーナー」「特攻作戦コーナー」の4コーナーに分かれ、1階の「海軍航空」展示室は「海上自衛隊航空部隊の発展コーナー」「航空部隊に働く人々」「国防を支える人々と航空技術コーナー」「海上自衛隊航空部隊の役割と能力コーナー」の4コーナーに分かれています。
・展示品
日米開戦の秘密会談が鹿屋で行われたことから、真珠湾攻撃に関するコーナーがありました。真珠湾攻撃に関する説明のパネルとともに、航空母艦「赤城」の模型などが展示されていました。
各コーナーでは、書、軍刀、勲章、写真などが展示されています。海上自衛隊の施設であることから、海軍関係者の遺品などは充実しています。メインの展示は復元された零戦です。
東京都での東京空襲犠牲者を追悼する祈念館の参考となるのは「特攻作戦コーナー」で、特攻隊員の名前、遺影、遺書、辞世などが展示されておりました。「特攻作戦コーナー」入口には、特攻隊員を象った銅像が置かれています。その銅像の前には靖国神社のお札と御神酒がお供えされていました。これは海上自衛隊の職員がお供えしたものか、来場者がお供えしたものかわかりませんが、特攻隊員たちは靖国神社にもお祀りされているので、これは心のこもった慰霊・追悼だと感じました。
1階の海上自衛隊の展示室では救難機S-61Aや哨戒機P-2Jの前方部分のみなどが展示されています。レーダー探査機なども間近に見ることができます。
展示品にはきちんと「大東亜戦争」と書かれているのですが、説明文には「大東亜戦争(アジア・太平洋戦争)」となっている箇所が数ヶ所あり、おそらくリベラル派からの批判を交わすためだと推測しますが、このような特定イデオロギーが入った偏向用語の使用は避けるべきです。
・周辺戦跡
史料館付近には多くの戦跡があり、鹿屋平和学習ガイドという有償の案内があります。案内人は鹿屋市からの委託とのこと。東京都でも、都内の慰霊碑など東京空襲に関する史跡を案内することができるかもしれません。案内する場所の候補としては、横網町公園(東京都慰霊堂、東京都復興記念館、東京空襲犠牲者を追悼し平和を祈念する碑)、錦糸公園(仮埋葬地)、隅田公園(東京大空襲戦災犠牲者追悼碑)、上野の寛永寺(慰霊碑 哀しみの東京大空襲)などとなります。鹿屋市では移動には車が必要ですが、東京都では交通事情などを考慮すると車で移動するよりも都バスや電車を利用して、東京空襲犠牲者追悼の利用割引などを検討した方がよさそうです。
・運営
海上自衛隊が運営しており、入場料は無料。
「知覧特攻平和会館」視察(7月17日)
・会館概要
鹿屋から車とフェリーで約2時間。
鹿児島空港から車で約1時間強、高速道路の南九州知覧インターチェンジから車で約5分のところにあります。電車の最寄駅「喜入」からだとバスで約30分なので、アクセスは不便です。
知覧特攻平和会館の手前に南九州市コミュニティーセンター知覧文化会館があるので、少しわかりにくい場所に建っています。隣には、ミュージアム知覧があります。
入口からの外観では気づきませんが、実際に会館に入ってみると奥行きがある広い建物でした。
・展示構成
展示の構成は「零式戦闘機展示室」「遺品室」「企画展示室」「震洋艇展示室」「四式戦闘機疾風展示室」「戦史資料展示室」の6部構成になっています。
・ロビー
売店があり、特攻関係の書籍、DVD、絵ハガキなどが販売されています。
ロビーでは知覧飛行場の歴史を描いたCG映像が流されています。特攻関係の展示を見る前の予備知識として、知覧飛行場の歴史を知ることができます。
・零式戦闘機展示室
この部屋には海軍零式艦上戦闘機が展示されています。
昭和20年5月に鹿児島県甑島・手打港の沖約500メートルで海没していた零戦で、昭和55年に海から引き揚げられました。
大きく損傷して錆びているのですが、修復せずにそのまま展示されています。
なお、この零銭展示室とロビーについては撮影可となっていますが、他の場所は撮影不可です。
・遺品室
この遺品室がメインの展示室で、一番大きな部屋となっています。
特攻隊員たちの遺影、遺書、辞世、絶筆、手紙、寄せ書きなどの遺品が数多く展示されています。展示は出撃戦死した順となっています。ただし、すべてが実物というわけではなく、コピーなども多く展示されていました。展示されているものだけではなく、引き出しにも遺品があり、1日ですべてを見るのは難しいほどの量でした。
デジタル化もされており、探索機で検索して見ることもできます。
遺品室にはVTR室があり、特攻の母と呼ばれた鳥濱トメさんらの証言ビデオを見ることもできる。
また、遺品室には陸軍一式戦闘機「隼」が展示されています。これは本物ではなく、映画「俺は、君のためにこそ死ににいく」の撮影のために作られた実物大とのこと。
・企画展示室
今回は「ある従軍カメラマンの追憶――義烈空挺隊員と家族の片影」という企画でした。
企画展があると、1度来館した人にも再来館を促せることになると思います。
・震洋艇展示室
震洋艇展示室は零式戦闘機展示室の奥にあります。
海軍水上特攻艇「震洋」が展示してあります。
・四式戦闘機疾風展示室
この部屋には陸軍四式戦闘機「疾風(はやて)」が展示されています。
この機体は米軍が完全修復して、アメリカの航空博物館に払い下げられました。その後、日本の業者が買い取り日本に戻ってきて、さらに美術館などを経て、知覧町(当時)が取得し、ここで展示されることになったとのこと。現存する機体はこの1機のみとのことです。
・戦史資料展示室
西南戦争から第二次世界大戦までの史料が展示されています。
・運営
南九州市が運営しているとのことで、入場料は大人500円、子供300円です。
観光バスも来ており、多くの来場者がおりました。
・周辺環境
知覧特攻平和会館のすぐ隣には護国神社や特攻平和観音堂があり、特攻隊員の慰霊・追悼には相応しいと思います。
「ホタル館」視察(7月17日)
・会館概要
ホタル館は、特攻の母と呼ばれた鳥濱トメが営んでいた食堂・富屋食堂を復元した建物で、鳥濱トメ資料館になっています。
2階建ての木造建築で、現在は道路拡張のためにもともとあった場所から数メートル奥に復元したとのことです。
知覧特攻平和会館から車で約10分のところにあります。
・展示品
鳥濱トメさんが特攻隊員の家族に宛てた手紙や特攻隊員との写真などが展示されています。
2階には戦後の鳥濱トメさんの写真、勲章などが展示されていました。
鳥濱トメさんの証言ビデオを上映しています。
当時の食堂の雰囲気を感じることができます。
・運営
民間による運営で、入場料は500円。
「万世特攻平和祈念館」視察(7月18日)
・祈念館概要
指宿から車で約1時間30分。
鹿児島県空港からだと空港バスで約1時間10分。
近くに電車の駅がないので、アクセスには不便。
少し宗教施設のような感じがする建物です。
・展示構成
展示の構成は「零式三座水上偵察機」「万世飛行場の歴史」「万世飛行場の出撃・戦没者」「遺品」「遺書と血書」の5部構成になっています。
1階の多目的スペースには映像資料室や会議室もあります。会議室は小学校1クラスの人数を収容できそうな広さですが、映像資料室は10数名程度なので、学校での課外学習となると、数回に分けて見る必要があります。都の祈念館建設にあたっては、やはり小中学校の課外学習を想定した規模の部屋を設けた方がいいと思います。
・零式三座水上偵察機
受付を入ると零式三座水上偵察機が展示されています。
これは吹上浜沖約600メートルの海底に沈んでいたのを平成4年に引き揚げたものとのこと。
両翼が大きく損傷しています。
実物の他に模型も展示されています。
・万世飛行場の歴史
万世の航空写真、万世と世の中の動きを説明したパネルが展示されています。
・万世飛行場の出撃・戦没者
出撃戦歿者201名の内訳が書かれたパネルが設置されています。
また、特攻隊員の携行品として、軍服、ヘルメット、カバン、パラシュート、戦隊旗などが展示されております。
・遺品
「遺品」と「血書」が2階での展示となり、ここは撮影禁止です。
他の視察場所などからも勘案すると、どうやら遺影や遺品などの展示については撮影禁止とし、メインとなる戦闘機については撮影可としている所が多いように思います。
特攻隊員の遺影、遺書、手紙、寄せ書きなどといった遺品が展示されています。展示室は落ち着いた空間となっており、人もそれほど多くないことから、これまで視察したなかでも最も慰霊・追悼に相応しい展示室だと感じました。遺品の配置、照明の明るさ、空間の使い方などは、ここが一番参考になると思います。
地元住民が、特攻隊員がどのような暮らし、最期だったのかを特攻隊員の家族に宛てて書いた手紙なども展示されております。
・血書
遺品コーナーの中央に一室設けられており、そこが血書のコーナーになっています。血書の質を保つようになるべく照明が当たる時間を少なくするため、人が入ってくると照明が点灯する仕組みになっています。
・運営
南さつま市による運営で、入場料は310円。