ken「筆は剣よりも危うし」

【筆は剣よりも危ふし】 安倍晋三さんを悼む  三澤浩一(武客)

 
安倍晋三さんが令和4年7月8日の午前11時半頃 遊説先の奈良県で銃撃され 午後5時3分にお亡くなりになられました
謹んで哀悼の誠を捧げて ご冥福をお祈り申し上げます

合掌

◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆

 安倍晋三さんが7月8日に暗殺された。令和どころか、我が国の歴史に記される大事件である。安倍さんの訃報は、我が国はもちろんだが、世界中を電光石火に駆けめぐり、大きな衝撃を与へた。

 安倍さんの略歴などについて、あらためて紹介するまでもないだらう。したがつて、本稿では特に述べない。

 安倍さんに弔意と敬意を捧げるため、友人とともに7月15日、自由民主党の本部に赴き、記帳と献花をしてきた。大雨の中でも多くの人々が並び、記帳して献花を行ふには1時間かかつた。安倍さんの人徳であらう。

 安倍さんの生前、僕は安倍さんに対して、筆誅ともいへる激しい批判を浴びせてきた。本欄を読み返していただけば、よくわかることである。

 安倍さんを糾弾してきたことには、反省も後悔も撤回も訂正もない。正しいことだと自負してゐる。しかし、それでも、安倍さんに弔意を表す。

 安倍さんは7月8日、遊説先で銃弾に斃れた。公憤によるものではなく、私怨によるものだと報じらてゐる。まだ詳細はわからないが、もし事実だとしたら、悲しいといふよりも、悔しいかぎりだ。

 この事件の詳細がわからない現状だから、この事件に関する論評は差し控へたい。ここでは、安倍さんの功罪について述べる。

 安倍さんは、殺すだけの価値がある数少ない政治家であつた。数少ないといふよりも、現在では無二の存在だつたといへるだらう。現在といふよりも、安倍さん程の価値ある政治家は、近現代では稀有といへる。

 憲政史上最長の在任期間を誇る内閣総理大臣であつたことはもちろんだが、それだけではない。圧倒的多数を誇る政権与党の中で、圧倒的多数を有する最大派閥の領袖でもある。

 そして、まだ数字を述べるならば、年齢といふ数字も味方してゐる。67歳といふ政治家としてはまだまだ活躍できる年齢である。次の総理大臣となる可能性は否定できない。

 さらに、国際情勢を見れば、経験が豊かで、人脈が豊富な安倍さんの出番があつたことだらう。それだけ、国際社会も指導者たるべき人材が不足?枯渇?してゐるのである。

 所謂「陰謀論」の類だが、安倍さんの影響力を恐れた外国の諜報機関による暗殺だと、まるでJFK暗殺のやうな話も出廻つてゐる。与太話と笑ふべきだらうが、それだけ安倍さんの存在が大きかつたといふべきだ。

 安倍さんは「最高権力者」から「最強実力者」へと歩みを進めてゐた。権力は地位や役職に附随するが、実力は当人の器量による。安倍さんは今後10年は最強の実力者として、政治を動かしていく存在となつたはずだ。

 かつての田中角栄さんと同じで、復権を睨みながら、巨大派閥を率ひて、政界の最強の実力者となるはずだつた。唯一の障壁は、安倍さん自身の健康だらうと思つてゐた。まさか、銃弾に斃れるとは……。

 あらためて、安倍さんの功罪を見ていくと、内閣総理大臣としてよりも、内閣官房長官や副長官のころに大きな功があることに気づく。

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