minsha 「とおる雑言」
いつまでも「面会お断り」 寺井徹(母子福祉協会監事)
母はいま、特別養護老人ホームに入っている。わが家から歩いて十分の距離で、本来なら始終、面会に行くべきところだ。しかし、施設側は「コロナ禍ですので」と面会お断り。「だいぶ納まってきていますけれどね」とお伺いを立ててみても、「いま検討中ですので」と取りつくしまがない。
たぶん、当局による行政指導があるとか、福祉団体の決定でもないと、「解禁」とならないのだろうなあ。当施設だけでも自主的に面会を認めてみよう、と会議を開いてみても、「もしコロナ患者が出たらどうする」の反対意見が出る。そうすると――。
たとえば、政府が「マスク着用をゆるめる」方針を打ち出したが、多くの国民は「みんなが、まだ着けているから」と、そのマスクをはずさない。少しでも懸念がともなうことは取り組まない国民性なのである。
話は替わる。
泊原発(北海道)の稼働が「大津波が起こったときの対策が不充分」を理由に、札幌地裁で認められなかった。かつて「阿蘇火山噴火への対策がない」と、広島地裁が伊方原発(愛媛県)の再稼働を止めた。「百%安全論」を振りかざしての決定である。その「論」に従えば、自動車は人を轢き殺す可能性がある、料理包丁も殺傷能力があると、いずれも使えないことになる。
それにしても、「コロナは百%撲滅されたわけでないので家族の面会も認めない」とは、正に人権侵害とも言えますね。
否、「オンライン面会は認めている」だって。リアルに会えなくて、何が「面会」か。
(「とおる雑言」二〇二二年六月)