stop「ストップ・ザ・左翼政局!」
【ストップ・ザ・左翼政局】 岸田首相は「令和の近衛文麿」「この上ない誤り」だ 鳥居徹夫(元文部科学大臣秘書官)
昨年秋の総選挙から4月で半年が経過した。その半年間に岸田文雄首相が就任し、立憲民主党からは泉健太代表が選出された。この半年間、岸田首相や立憲民主党の泉代表は頼りなく、フラフラして軸足が定まらない。
◆共産党にそよぐ立憲民主党
昨年の総選挙で立憲民主党は、連合票と共産党の支援という二股をかける戦略を模索したが、それは連合との政策協定「左右の全体主義に反対」に逆行する。言うまでもなく共産党・共産主義は左翼全体主義である。
それでいて立憲民主党は、山口二郎らの市民連合を仲立ちとして共産党と政権合意を結ぶという有権者軽視・共産党重視の姿勢をとった。
当然のこととして、票だけよこせと言う立憲民主党の姿勢に連合は反発し、連合からも有権者からもソッポを向かれ、総選挙の惨敗となった。
立憲民主党も、連合とは政策協議を行っているが、中身は連合と自民党や維新の党、公明党との協議に比して形式的である。
政策協議との名目だが、立憲民主党にとっては連合の選挙支援の要請がメインであった。同時に先の総選挙では平気で共産党との政権構想を結び、共産候補の取り下げを求めていた。
枝野幸男に代わり泉健太が代表になったが、共産党との共闘を継続すると言い、批判政党から提言型野党への転換を打ち上げるも、まともな提言すらない。憲法調査会にも、開催すべきでないと言ったり、出席すると言ったりのチグハグぶり。
共産党との連携についても、泉代表は「いったん白紙」と表明した。袖にされた共産党は、さすがに堪忍袋の緒が切れ参院選一人区での候補擁立を進めている。
また立憲民主党は、ウクライナのゼレンスキー大統領のオンラインでの国会演説に後向きであったが、一夜にして推進側に回った。
国会演説は、事前のすり合わせもなく、3月23日にオンラインで実現した。
◆岸田文雄は「背骨のないクラゲ」
野党第一党の立憲民主党は、開会中の通常国会でも全く存在感がなかった。7月と想定される参議院選挙も、このままでは敗北が濃厚である。
だからと言って、自民党も公明党との選挙協力も含め万全ではない。
肝心の岸田総裁に求心力がなく、安倍首相のような岩盤支持層は望むべくもなく、そもそも首相になることが目的にしか見えない。
閣僚をみてもコロナ関係の厚生労働大臣、コロナ担当大臣、ワクチン大臣の3大臣を総とっかえというお友達人事で敵を作らない。
さらには信念なし決断なし。遅く鈍く、ナヨナヨしている。目標とスケジュール感がない。
岸田首相は昨年12月6日の所信表明演説で「ワクチン3回目接種の前倒し」を表明したが、翌日に後藤茂之厚労相から「全国民を対象にした前倒しは困難」と軌道修正された。
多くの自治体からは高齢者の前倒し接種を求められたが、政府は「原則8カ月」をとした。全国一律にこだわり感染拡大を招き第6波の対策も大きく出遅れた。
蔓延防止対策宣言は、最大で36都道府県に及び、終了したのは3月21日であった。
お友達人事では、林芳正外相の任命責任がある。
ウクライナ情勢が緊迫化しつつあり、世界各国が共同でロシアへの経済制裁に動こうというときに、林外相は2月15日にロシアの閣僚と日露の経済協力を協議した。日本としての失態が問われる「利敵行為」にほかならない。
ロシアの軍事侵攻は2月24日だった。
林外相は、駐日ウクライナ大使からの面会要請を、1カ月も「放置」していたことが、3月2日に国会質疑で発覚した。
ロシアの経済発展相とは喜んで会談しながら、駐日ウクライナ大使とは面会する時間がないというのである。
資質が問われるのは、岸田首相という人物である。
岸田文雄は、東京大学法学部、財務省、左翼支配の朝日新聞に、強いコンプレックスがあるようだ。
とくに東大法学部・朝日新聞は、共産中国・ロシアなどが進歩的と思いこんでいる節があり、日本タタキの韓国なども合わさり、日本を標的と狙う勢力のお先棒を担っていると言っても過言ではない。
◆霞ヶ関には「良きに計らえ」だが。
岸田文雄の周囲には、宮澤喜一(元首相、故人)ら国会議員の大物とか広島県知事になった血縁者が多い。彼らは東大法学部から財務省に入るなど、エリート臭プンプンである。
岸田文雄は、東大受験に二度失敗したあと早稲田大学に入学した。華麗なる一族の中で、負い目を感じコンプレックスの中で処世術を身につけてきたのではないか。
そして同じ派閥系統の宮澤喜一や河野洋平らは、NHKや朝日新聞などのメディアには左翼的ポーズで立ち振る舞ってきた。
つまり東京大学法学部、財務省、NHK、朝日新聞など「虚妄の権威」の顔色を窺い、そこから悪く思われないように気にしてきた。
東大法学部は、宮澤俊義や芦部信喜らを憲法解釈の権威としてボス教授となり、その系列の教授らの教え子が官僚や法曹界に進む。また地方の国立大学などに配置され学閥を形成しており、ただでさえ左翼色が強い。
中央省庁の幹部は、旧帝大とりわけ東大法学部の出身者が多く、私大卒の岸田文雄は劣等感が強いのか、首相の座についても責任ある指導ができず「良きに計らえ」となる。
なぜなら岸田首相の深層心理に、学歴・学校歴という「権威」で、世の中を序列づける意識が強いからではないか。
それでいて、自分より学校歴で下に見る安倍元首相・菅前首相には対抗心が強いようである。安倍晋三は成蹊大学、菅義偉は法政大学第二部の卒業だが、政治主導で霞が関の言いなりにはさせなかった。
岸田首相は、自分より学校歴の高い霞ヶ関の官僚からの提示には「それ行けどんどん」「良きに計らえ」だが、すぐに方向転換してしまう。
なぜなら高学歴・学校歴の自称エリートは、国民生活の現場を知らず、「かくあるべき」という観念論や前例が多い。それがゆえに、現場を知る政治家の主導と行政チェックが不可欠なのである。
しかも高級官僚は、おしなべて「省益重視、国民軽視」である。いわゆる幹部コースは、30歳代で県の課長や主要都市の部長に出向しチヤホヤされ、外国の大学等に国費留学が家族帯同で用意されている。当然のこととして「俺は偉いんだ」と勘違いしてしまうのが多すぎるのである。
岸田内閣は総選挙の直後に「18歳以下への10万円相当の給付」を打ち出した。当初は財務省主導で「2021年内に5万円を現金、年度内にクーポンで5万円」の支給方針であったが、与野党から猛反発を浴び二転三転した。結局2021年内に現金一括給付の形を取ることも可能とした
また共通一次にかわる共通テスト「オミクロン株濃厚接触者の受験は認めない」との方針が、「別室受験などの機会確保」に変更した。
◆左翼論調のメディアの顔色を気にする岸田首相
さらには新潟県から強い要望があった「佐渡金山」をユネスコ登録の申請についても、当初は外務省・文化庁などの推薦見送りに「良きに計らえ」であったが、自民党内の猛反発から急遽、登録申請した。
官邸や霞ヶ関は、慰安婦や徴用に関する韓国のウソの誹謗中傷を繰り返す韓国との軋轢を避け、韓国に寄り添う姿勢であったからではないか。
一方で岸田首相は、左翼論調のメディアの顔色を気にする。
昨年の選挙後、国会は12月6日の岸田首相の所信表明演説には、昨年4月の菅義偉・バイデン会談の共同声明に明記した「台湾海峡の平和と安定」の言葉がなかった。
岸田首相は「近隣国との間でも、国益にもとづき、この地域の平和と安定を目指して、確固たる外交を展開していく」と述べただけであった。
演説原稿の作成段階で、防衛大臣の岸信夫は、「台湾海峡の平和と安定は、我が国の安全保障と分けて考えることはできない。両岸関係の平和的な解決を求める」との文言を加えるよう官邸側に求めたが、岸田首相はメディアと左翼勢力に迎合した。
とかく左翼的なマスコミに悪く書かれないことと、支持率を気にするのが岸田流である。
◆なぜかパッシングされない岸田内閣
岸田政権は、ブレブレで前言訂正のオンパレードであり、日本の首相としての矜持がない。
実際、経済は好転の兆しすらなく、菅義偉政権時に3万円台にのった株価は2万6千円台という惨状であり、「令和版所得倍増計画」もいつのまにか蒸発した。
世論調査政権、言い訳政権とも揶揄されているが、メディアからはパッシングを受けない。あれほどブレブレであるにもかかわらず。
それは岸田政権が崩壊したときに、安倍・菅路線を継承する政権が誕生することを恐れているのではないか。
野党の政権交代は望むべくもないので、岸田首相に頑張ってほしいというのが、左翼的なメディアの願望であろう。
メディアも岸田内閣の支持率が低下するのを恐れているようであり、岸田政権の批判をためらっているようである。
「佐渡金山」のユネスコ申請のドタバタ劇があっても、メディアは岸田文雄への批判よりも、外務省などを押し切るように主張した安倍晋三への批判が目立つ。
◆プライドが高い岸田首相の血縁者。宮澤喜一ら財務省関係が多い
1997年に発足した小渕恵三内閣が、元総理の宮沢喜一を大蔵大臣(当時)に任命した時、マスコミは「平成の高橋是清」と持ち上げた。
ところが、大蔵官僚出身の宮沢喜一氏は、大蔵省のメンツと、大蔵省出身者が頭取・相談役として天下っている銀行・証券会社など金融機関の既得権益を、国民の税金(公的資金)を使っても守り抜くという意識であり、この姿勢は到底「平成の高橋是清」とは無縁であった。
それどころか大蔵官僚の既得権益と(護送船団方式など)既成概念にこだわり、保身から「バブル崩壊の公表」をはじめ、何も決断できなかった。
むしろ宮沢喜一は、戦前にグズラの異名を持ちながらプライドだけは高かった近衛文麿首相を想起するものがある。宮沢喜一は「平成の近衛文麿」というか、平成の「この上ない誤り」と言うべきであった。
現首相の岸田幸雄も、霞ヶ関に担がれ周りに左右され、まさに「風にそよぐグズラ」だ。
岸田首相のグダグダぶりは、近衛文麿を想起させる。
あの近衛文麿は、ゾルゲや尾崎秀美の工作に踊らされスターリンを喜ばせた。
まさしく岸田首相は「令和の近衛文麿」「この上ない誤り」だ。(敬称略)