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【論説】二度と戻れないウクライナ侵略前の時代
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ロシアがウクライナに侵略して1か月が経過した。かつて米ソ冷戦の一方の統治国として世界を席巻したソ連。その主要国であったロシアによるかつての同胞への蛮行は、どのような形になれば停戦できるのだろうか。
ロシア連邦という大国が仕掛けた戦争とはいえ、実態は独裁者プーチンによる1人が仕掛けた戦争である。この男の意向で全ての方針が決まるロシアの政治システムはあきらかに世界を危険に晒し続ける。プーチンは2000年の大統領就任後、4回の軍事力行使を行ってきた。1999年に勃発した第2次チェチェン紛争、08年のジョージア戦争、14年のクリミア半島制圧、そして15年のシリア空爆。
いずれも旧ソ連圏や、ロシアの影響力が及ぶ内戦に干渉し、西側の影響力を削ぐための軍事作戦であり、力による支配を断行し続けた。それによって先進国首脳会議(G8)のメンバーから外されたり、経済制裁を受けたりして外交上の停滞を招きながらも自身の意図を貫徹し、見方を変えれば地政学的な成功を続けてきたともいえる。時代に逆行する独裁を精神的に支えたのは、ベラルーシ共和国のルカシェンコ大統領や中国の習近平国家主席など、同じくユーラシア大陸に跋扈する隣国の独裁者たちである。
平和主義・民主主義を第一義に置く西側からすれば、血も涙もない暴力行使に過ぎないが、プーチンからすれば「自分は負けない」という成功体験に映っているに違いない。ソ連崩壊後のロシア連邦という形式的な民主主義国家の中で、ソ連を崩壊に導いたゴルバチョフ以前の独裁制や情報統制を実質的に復活させることで、国威発揚や支持率上昇に利用し続け、「力こそ正義」を繰り返してきた。
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