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【論説】もしもトランプが再選していたら
※イメージ画像
真実とは複雑怪奇である。
プーチン大統領は、NATO(北大西洋条約機構)の解体を企図していたトランプ大統領が米大統領選で再選することを期待し、ウクライナ問題を保留状態にしていたという。
2008年のジョージア侵攻後、西側諸国から経済制裁を受け、2014年にはウクライナにも侵攻、クリミア半島を奪った。プーチンは政治的に妥協することがなく、敵側の綻びを待つやり方で常に欲しいものを手に入れてきた。
そこに「Make America Great Again」を唱えるトランプ大統領が誕生する。2016年の大統領選ではロシアが通信詐欺や身分窃盗を駆使してトランプ陣営に肩入れした結果、ネガティブキャンペーンで有利に選挙戦を戦ったトランプ氏が逆転勝利したと言われている。トランプ氏の主張は米国第一主義であり、西側諸国の協調や集団安全保障を二の次に置く。NATOの存在を打ち消したいプーチンには渡りに船とも言える人物が西側のリーダーとなったのだ。
就任から4年間、トランプ政権はプーチンの期待通り西側の結束に綻びを生じさせた。気候変動枠組み条約であるパリ協定からの離脱表明、世界保健機関(WHO)からの脱退(バイデン政権で撤回)、国連教育科学文化機関(ユネスコ)脱退表明、環太平洋パートナーシップ協定(TPP)脱退と、次々に既存の枠組みから抜け出す。一方で、基軸通貨や経済大国の立場から強気の二国間協定を各国と結び、政治・経済・軍事のあらゆる面で一国繁栄主義にシフトしていった。
NATOからの離脱は地政学的リスクを根本から増大させ、人類が戦後築いてきた集団安全保障体制を覆す可能性を孕むものである。すなわち、各国がロシアや中国と二国間もしくは米国を除いた民主国家で対峙しなければならない。当然ながらパワーバランスは崩れ、ロシア・中国という独裁国家の暴走を許すことにつながる。
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