seikei「なるほど、なっとく政経塾」

【なるほど納得政経塾】-67- 「ウクライナを見極める習近平」 小山和伸(神奈川大学経済学部教授 経済学博士)

メタ原理に背く帝国主義

 メタ原理とは、世の中の全般を貫くような大きな論理の流れを意味する。例えば、自然科学の分野で言えば、万有引力のような力はすべてに対して支配的で、何らかの別な力で一時的にこれに逆らえたとしても、結局は引力に引き付けられるといったようなものである。磁力や電子の運動なども、また別種のメタ原理である。

 社会科学の世界にも、例えば経済発展や民主化といった大きな流れ、メタ原理を仮定することができる。経済発展の波は、進んだ国から遅れた国へと広がり、続いて民主化の波が現れると仮定することができる。勿論、人為的な政策によってその流れを遅らせることはできるが、完全に止めることは難しい。

 さて、帝国主義が宗主国に莫大な利益をもたらしてきた時代は、著しく遅れた国が経済発展と民主化の波及効果によって無くなっていくことによって、終わりを告げた。先進国が、いともたやすく広大な未開地域から、莫大な資源を収奪できる時代は終わり、他国支配には逆に莫大なコストがかかるようになった。

 大東亜戦争後に、有色人種の独立国が澎湃として興きてきたのは、人種平等・八紘一宇を掲げて奮戦した日本の戦いぶりが、直接功を奏していたことは間違いないが、この戦争の過程をも含めて、被植民地地域や国々に経済と教育の進歩が波及していった効果が、メタ原理として働いていたからである。かくして、宗主国にとって植民地支配は、間尺に合わない政策となった。

記事の続きは有料会員制サービスとなります。

2023年3月より新規会員は新サイトで募集しています。
こちらでご覧ください。

Yamatopress Web News

やまと新聞は日本人による日本のための新聞社です。
会費は月額350円(税込)です。全ての記事・コラムがご覧いただけます。

会員の方はこちら