kiji記事
【論説】メタ(超)を目指すフェイスブックの果て無き野望
※イメージ画像
昨年10月、フェイスブックが社名を「メタ(Meta)」に変更し、メタバースという仮想空間の構築に力を入れていくと発表した。メタバース(metaverse)とは、インターネットのなかで構築された現実世界と異なる仮想空間だ。英語の「超(meta)」と「宇宙(universe)」を組み合わせた造語である。
容量無制限でのネット環境が整った2003年、同様の試みはすでに行われている。リンデン・ラボがリリースした仮想空間サービス「セカンドライフ」だ。ユーザーが3Dモデルで自身のアバターを駆使し、仮想空間内を自由に歩き回り、他のユーザーとコミュニケーションを楽しむことができた。
しかし、それ以前に流行した街づくりゲーム「シムシティー」の中に自分のアバターが降り立った程度の世界観だった。仮想空間内での交流や経済活動には技術的な限界が多く、利用者のリピートや拡大にはつながらなかった。20年近くが立ち技術が向上した現代、メタバースの映像はディスプレーでなくVRを装着することで、仮想空間はより現実空間に近い感覚に近づいた。
そして、できることの領域も各段に進歩している。ブロックチェーン技術を利用した暗号資産(仮想通貨)やNFT(非代替性トークン)といった電子上の価値を交換することで、実質的な金銭のやりとりも容易に行えるようになった。仮想空間内の土地を、こうした「マネー」を介して実質数億円で売買することが可能なのだ。
セカンドライフでも同様の通貨は存在していた。ただ、それはセカンドライフ内だけで通用するものであり、現実世界での交換は難しかった。価値の裏付けがなければ、誰も安心して換金しようとはならない。一方、暗号資産やNFTはリアルマネーに換金することができる。「サービスが不人気になれば集めた価値が失われる」というリスクは極めて低い。
FB改め「メタ」は、自身が傘下に持つフェイスブックやインスタグラムなどのSNSと、オキュラスVRなどのデバイスを利用したメタバース空間を連動させることで、仮想空間をより現実空間に近付け、傘下企業同士が相乗効果を果たし、次世代ITのハブ(中心)となることを狙っている。要は、ユーザーを仮想空間に没入させて、主催者メリットを根こそぎ享受しようとの算段だろう。
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