minsha 「とおる雑言」
【とおる雑言】 このままでは政党政治は滅ぶ 寺井融(母子福祉協会監事)
今回の総選挙で、相変わらずオカネの問題が起こった。大きな話題の第一は、業界団体が集会への動員した人に対し、交通費五千円を払ったという話。第二は衆院候補者が、参謀の県議に「当選したいのなら、二、三千万円を選挙区に撒け」と指示された、との記者発表である。いずれもオカネを選挙で配る側が批判された。それは当然として、何故、もらう側が問われないのか。
先の参院選においても、広島県選挙区において河合夫妻が地方議員や市町村長に数十万円配って歩き、衆参議員は失職し、一審判決でも有罪となった。受け取ったほうは司法取引で罪に問われず、公職に踏みとどまっている人も多い。これはおかしい。
もっとおかしいのは、有権者である。
〝交通費〟として五千円を手渡されても、〝画鋲代〟や〝ガソリン代〟と称して、ポスター貼りなどで日当一万円を手渡されても、何の懸念も抱かずに受け取り、会費制の会合で、政治家から酒二本や金一封などの〝差し入れ〟を当然とする神経は、腐敗の温床につながるであろう。
「そう言われても、タダで動いてくれる人などおりません。オカネは必要です」と長年、選挙を携わってきた友人は語っていた。
自民党が公明党を、立憲民主党が共産党の活動家を頼りにする所以も、実はそこにある。もはや宗教的信念か教条的なイデオロギーへの〝狂信〟しか、末端の政治活動を担う主体は、存在しないのかもしれない。
一般の国民が、もっと政党を支えなければ、この国の政党政治は遠からず滅ぶ。