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【今さら聞けない皇室の基礎知識】 「暴走する尊皇家・国民という愚民」 村田春樹(今さら聞けない皇室研究会顧問)

小室圭氏眞子内親王殿下は10月26日には、ついに御結婚、長い春だった。お二人の門出を心からお祝いし、お幸せを祈念する。

しかし眞子さまはPTSDを発症、小室氏は弁護士試験不合格と波乱の船出である。航路の平安を祈るのみである。10月26日の読売新聞の記事を紹介したい。欧州の王室に詳しいK学院大学のK教授が寄稿している。まずスェーデンの王太女が結婚した平民のスポーツジムの青年の例を挙げた。王太女の父国王は反対し世論調査も8割が反対だった。しかし結局国王は青年に語学や宮廷儀礼など王族に必要な教養を求め、青年は7年間勉強に専念してようやく結婚が認められた。しかしこのケースは日本の参考にはならない。スェーデンはじめ欧州では王族と結婚した平民は王族に加わるが、日本では女性皇族は平民と結婚すれば臣籍に降下するからだ。つまり只の民間人になるのであり、相手の男性には語学も宮廷儀礼も求められない。小室氏との結婚は欧州の王室と比してさも問題があるかのように、したり顔で指摘するのはお門違いである。さらに同教授はノルウェーのホーコン皇太子の婚約時に、相手の民間人女性の麻薬歴が暴露され大問題になったことを挙げている。しかしこのケースを挙げるのは不適当である。小室圭氏の場合父親の自殺とか母親の元婚約者とのトラブルが問題の発端だが、小室氏自身が自殺未遂したわけでもなく、元カノと金銭トラブルがあったわけでもない。小室氏は麻薬パーティのような犯罪には無縁である。悪いことは何もしていないのだ。こういう外国王室の記事を読むと誤解する人が多く出てくるのではないか欧州の王室と皇室は似て非なるものなのだ。

さて同紙に東大名誉教授の御厨貴氏が興味深いことを書いている。「お相手がわのトラブルは上皇さまの退位特例法成立直後に浮上した。二百年無かった天皇の退位を世論で実現させた国民は、自身を投影しやすいこの話に飛びついた。」その通りである。退位は明らかに憲法違反であり、陛下が宮内庁も政府も飛び越えてNHKにリークしたことが発端だった。しかし国民(愚民)の「おかわいそうに」という世論が退位を実現させてしまった。国民(愚民)は味をしめたのだ。本連載で以前にも述べたが、開かれた皇室から皇族は転がり落ちてきて愚民の弄ぶ玩具になってしまった。再度言う。三島由紀夫先生は「開かれた皇室はその実大衆に弄ばれるだけであり、結局飽きて捨てられる。」と警鐘を鳴らしていた。

愚民は鬱憤晴らしに嫉妬交じりで皇族を口汚く批判する快楽を覚えたのだ。この麻薬

の愉楽は忘れられない。しかも愚民はネットで武装して匿名で皇室皇族を狙撃するようになってしまった。一億総小姑どころではない、一億総武装愉快犯になってしまったのである。御厨氏は続ける。「デジタル世代の眞子様は直接SNSが拡散する根拠不明な批判にも触れてしまった。」私はネットの捏造誹謗中傷汚い罵声が眞子様の目に触れ無ければよいが、と危惧していたが、凄まじい罵詈雑言の弾幕に直撃されPTSDになってしまったのだ。心から同情する。業界で批判している人は「わしは小室を批判しているのであって眞子さんを批判しているのではない、と嘯いている。詭弁である。小室氏を批判することは彼を選んだ眞子さまを批判することである。そして眞子様への批判は秋篠宮同妃両殿下への批判であり、両殿下への批判は上皇上皇后両陛下への批判である。

さて今業界では虎ノ門ニュース始めミニ放送局が簇生している。放送法を遵守しているかどうかは不明であるが、かなり過激な内容が放送されている。小室氏についても人権など全く無視しているようだ。さて先日畏敬する若手論客のユーチューブ動画を見て一驚した。この論客は別の動画で小室氏を「皇室に巣くう寄生虫」としているがそれはさて措く。この動画で概ね次のような発言をしている。「結婚の発表と同時に複雑性PTSDだと発表した。これは国民の批判のせいでこうなった、と国民を逆批判しているのだ。国民の口封じである。しかも同時に発表をしたのは眞子さんの強い意思であって宮内庁の独断ではない。」つまり眞子さまは国民の批判のせいで病気になった、国民の口封じのために同時に発表させた、と言っているのだ。「医師は周囲の暖かな見守りがあれば快方に向かうと言っている。それでは国民は黙るしかないではないか。」つまりこの論客は黙るつもりは毛頭無く「国民の怒りを買うばかりだ」と言っているのだ。「医師は誹謗中傷が問題だと言っているのだから、誹謗中傷の原因である結婚をやめれば良いではないか。国民の非難を止めるのはそれしかない。」要は「結婚をやめろ」と言っているのだがそれでは解決にならないではないか。ひたすら「皇族は国民に従え」と言っているのだ。わずか10分ほどの間に国民ということばを数十回叫んでいる。私が疑問に思うのは、この論客はいったいなぜそこまで感情的になっているのか。論客が葵のご紋の印籠のように振りかざす国民とはいったい誰なのか。まずご論客ご自身である。そして週刊誌のガセネタしか知らない踊らされている愚民である。さらに皇室批判という麻薬の愉楽を忘れられない愚民である。さらにこの騒動でアクセス数を増やして儲けようと企む皇室評論家である。そしてこのどさくさになんとか皇室の権威を失墜させてやろうと目論む確信的左翼反天連や日本共産党である。平成25年には日本共産党は全党員にSNSの積極的活用を指示したそうである。所謂保守派に紛れ込んで、周囲を反皇室に駆り立てようとしているのではないか。私は何回でも繰り返す。国民ってそんなに偉いのか。皇室は国民の下風に立っているのか。どうやって国民の民意を問うのか。国民投票でもするのか。気に食わない皇族をリコール運動して平民に引きずり下ろせばよいではないか。

ネットという武器を手にした豺狼のような国民が皇室に牙をむきだしているのだ。

さらに恐ろしいことが起こっている。10月上旬東京で「御結婚反対デモ」なるものがあってあきれたが、その後その若い連中が、繁華街で以下のプラカードを掲げてアピールしているのだ「敬愛できる皇室…特権濫用疑惑調査、皇室費(血税)収支公開。」 呆れるしかない。彼らはこの問題に乗じて皇室廃止を目論む確信犯かも知れない。先日ワイドショーを見ていた愚妻が言った。「降嫁一時金1億数千万円辞退したって言うが、両親からも祖父母からも桁違いのお祝い金をたっぷり貰っているに違いない。それもこれもみんな私たちの税金だから、私にも言う権利があるわ。」私は愚妻を殴りつけたかったがかろうじて堪えた。事実である。(続く)