kokutai「日本への回帰」「揺るぎなき国体」
【日本への回帰】 国歌「君が代」の元歌 荒岩宏奨(展転社代表取締役)
現在、国歌「君が代」の歌詞は、「君が代は千代に八千代にさざれ石のいわおとなりてこけのむすまで」と、国旗及び国歌に関する法律(以下、国旗国歌法)で制定されている。国旗国歌法が成立したのは平成11年のことであった。「君が代」の歌は古典に由来するので、歴史的かなづかいが望ましいと思うのだが、法律上では現代かなづかいとなっている。
国歌「君が代」の元の歌の初出は、『古今和歌集』(延喜5年、西暦905年)である。『古今和歌集』は醍醐天皇の勅命により編纂された勅撰和歌集である。「元の」歌の初出としたのは、現代の「君が代」とは異なる点があるからである。もちろん、国旗国歌法の「君が代」の歌詞は現代かなづかいだから、歴史的かなづかいとは異なるという点もあるのだが、異なるのはそこではない。
『古今和歌集』では題しらず、読人しらずとして「我君は千世に八千世にさゝれ石のいはほとなりてこけのむすまで」という歌が収録されている。このことは、よく知られている。
たしかに、現在一般的に流布されている藤原定家による『古今和歌集』の写本には、この歌が収録されている。ところが、実は『古今和歌集』にはこの他にもいくつか写本が残っているのだ。そして、それらの写本は、藤原定家の写本とは微妙に異なる点が存在する。この「我君は……」の歌についても、一般的に流布している藤原定家の写本とは微妙に異なる写本が存在するのだ。
『古今和歌集』にはさまざまな写本があるのだが、「我君は…」の歌は次の三種類あるとされている。
我君は千世に八千世にさゝれ石のいはほとなりてこけのむすまで(①)
我君は千世にましませさゝれ石のいはほとなりてこけのむすまで(②)
我君は千世にましませさゝれ石のいはほとなりてこけむすまでに(③)
国旗国歌法の歌詞と比べると、初句はすべての写本で異なっている(①②③)。
次に、二句目が「千世にましませ」となっている写本が存在している(②③)。
さらに結句も「こけむすまでに」となっている写本が存在している(③)。
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