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【今更聞けない皇室の基礎知識】 「令和3年5月9日眞子内親王殿下ご結婚について」 村田春樹

先月号では、私の唱える「眞子内親王殿下御結婚賛成論」に対する怒りの反対論について感想を述べた。その直後4月8日に小室氏が28ページに及ぶ文章を発表した。「説明不足だ」と言う批判の嵐を受けて、詳細に説明したら今度は「長すぎる、悪文だ」として、またまた尊皇家やネトウヨの攻撃の嵐である。著名皇室評論家であり小室攻撃の急先鋒であるA氏は「天皇陛下に謝罪の文言がない。」と批判している。しかしこの文章はいわゆる400万円の借金?についての説明であって、そこに天皇陛下を入れるのは不適当ではないか。もし入れて書いたら、今度は「借金問題と天皇陛下を同一に論ずるのか、無礼千万だ。」と攻撃されるだろう。要は気に食わないのだから何をやっても攻撃をやめないだろう。どうしてそんなに憎いのか私には理解できない。ネットでは、小室氏が学生時代に女子大生と肩を組んでいる写真が出回り、「品がない、けしからん」の嵐である。なるほど批判する人たちの青春時代はさぞかし清廉だったのだろう。私の青春時代と比べたら小室氏は遙かにまともな方である。私に言わせれば普通の学生ではないか、そんな写真の一つも無く、暗い学生時代を過ごしたオタク男なんぞよりよっぽど良い。眞子内親王殿下もそういう明るさに惚れたのではないか。いずれにせよお二人は四面楚歌のように見える。眞子内親王殿下は「理解していただきたい」との声明を出されている。どうして理解してあげられないのだろうか。だめだめの一点張りである。

そこで三つのケースに分けて考えて見よう。まず第一は自分の娘だったらというケース。前号に登場していただいた私の賛成論に激怒して筆を起こしたB氏は「自分の娘に小室が嫁に欲しいと、と言ってきたら追い返す」と書いている。なるほど、私もそうする。しかし、現実問題追い返したら、娘から「お父さん何言ってんのよ!親子の縁を切るからね。結婚式に呼んでやらない!」と叱りつけられ、家に居場所が無くなるのがせきの山であろう。まして今回は「お父さまだってお母さまだって、学習院大学で見初めた人と結婚したのでしょう。私は同じ事をしているだけでしょ。」と反駁されるに違いない。

二つ目のケースは親戚知人の子供だったらどういう反応をするだろうか。

世上「夫婦喧嘩は犬も食わない。」と言われる。これは「犬も食わないからましてや人間が食ってはいけない」、ということである。私事だが若い頃、社内の既婚女性が夫と喧嘩して別居した。女性の上司が味方して何くれとなく世話をやき激励して、「あんな男とは早く別れなさい」とアドバイスしていた。ところがなんと二人はよりを戻してしまったのだ。上司はばつが悪いし、その夫婦両方と人間関係が悪くなってしまった。そう、犬も食わないものを食ってしまったからだ。夫婦喧嘩だけではない。40年前○○支店にいたとき妙齢の独身美女がいた。男性関係がお盛んで、陰で△軽女と言われていた。そこへ本社から独身男性エリート社員が転勤してきた。美女は早速アプローチしたが、周囲はこのエリートに「あの女は要注意だよ」などと野暮な忠告はしなかった。そしてめでたく華燭の宴と相成ったが、爾来幸せに暮らし添い遂げている。夫婦喧嘩だけでなく「男女交際も犬も食わない」のだ。夫婦の幸不幸は夫婦の数だけあってさまざま、結婚は多分に運であり賭けである。都々逸にある「♫ひとの恋路を邪魔する奴は、犬に食われて(馬に蹴られて)○○○しまえ♫」

三つ目は庶民の結婚ではない。貴人まして内親王なのだからだめだというケース、つまり今回の騒動である。

以前も書いたが、明治22年上梓された「皇室典範議義解」の前文に「臣民のあえて干渉する所に非ざるなり。」とある。今業界で臣民をもって自称している前述の著名皇室評論家のA氏はこの「義解」をご存じないのだろうか。氏が目指すものは一体なんなのだろうか。仮に氏の先導でネトウヨが盛り上がり世論を動かして宮内庁ひいては天皇陛下や秋篠宮殿下を動かし、結婚が破談になったとする。氏は目標を達成できたとばかりに、凱歌をあげるのだろう。眞子内親王殿下が生涯をかけた恋が破れ悲嘆にくれている最中に、お赤飯でも炊くのだろうか。内親王は破談の後、傷心甚だしく、当分いや一生結婚できないであろう。仮に心の傷が癒えたとしても一体誰が小室氏の後釜にしゃしゃり出てくるのだろうか。40歳を過ぎ長和殿でお手を振る憂色濃い内親王殿下を拝してA氏は心が痛まないのだろうか。ネトウヨ愚民が面白がって反対するのはわかる、反天連や共産党が「やれやれえ」と喜んで反対をそそのかしているのもわかる。しかし本物の尊皇家であり臣民であるA氏はこれだけ反対していったいどうしようというのか。

A氏は大活躍しておりそのうち園遊会に呼ばれるだろう。会場でA氏を認めた眞子内親王殿下は自らの生涯をかけた恋路の邪魔をしたA氏にご会釈を賜るのだろうか。きっと分け隔てなく賜るのだろうが、私は釈然としない。そもそも根本的な事だが、内親王が降嫁して民間人となり、その後結局離婚したとする。それが現下の皇室の危機つまり皇統断絶問題について、いささかでも影響するのだろうか。なんの関係もないではないか。私は眞子内親王殿下を敬愛している。どの皇族も同じだが、ご活躍に誇らしいものを感じている。平成27年12月にエルサルバドル及びホンジュラスを、平成28年9月にはパラグアイを訪問されたとき、振り袖姿で現地の儀仗兵を閲兵する堂々たるお姿を拝して涙腺が緩んでしまったものである。

この敬愛する眞子内親王殿下の生涯をかけた恋路を邪魔する人の気が知れない。我が娘も同じ年頃だが、「そんなに好きなら結婚させたらいいじゃない。だめなら離婚すればよいのだから。」と言っている。まさにその通りである。民間人になった後に離婚しても、皇統になんの関係も影響もない。気の毒なだけである。前号にも登場していただいた、尊皇家で知られるC氏は尊皇愛国団体の機関月刊誌で皇室の尊厳と題して書いている。曰く「自らのご修養中に皇族としての御自覚が育たなかったのかもしれません」「大きな御自覚をお持ちいただく必要があったのです。」「皇位の尊厳というものを深くご理解されて(中略)思い至らなくてはならないのです。」「国民の信を覆すような御結婚は残念ながらありえないのです」等々ことば丁重であるがなんとも上から目線ではないか。実に不愉快かつ慇懃無礼な文章が延々と続くのである。繰り返すが眞子様はお父様お母様が「個人として」大学で知り合った人が好きになり結婚したのと同じように「個人として」結婚しようとしている。皇族公人としてではなく、個人として結婚したいのだ。おじいさまである天皇陛下御自ら、平成28年8月の譲位のお言葉で、ご自分を「個人」とおっしゃっているではないですか。お孫さんが「個人」として結婚したいとおっしゃっているのに、C氏はいまさら何を言っているののでしょうか。

御結婚問題では保守派尊皇家が先頭を切ってネトウヨを牽引して猛反対しているが、もしお二人がお幸せに添い遂げたなら、なんと言うのだろうか。振り上げた拳の持って行きようがないことほど滑稽なものはない。C氏は同じ文書で歴代天皇の神性について語っている「天皇は神そのものではないとしても神性をお持ちであり、まさしく神に等しい存在であって、その神性は何ら変わることはありません。万葉集に雷の上に庵する、と詠まれたようにその神性に揺るぎはありません。」なるほど素晴らしい。全く同感である。史上初の敗戦を喫して外国軍に占拠されても些かも毀損されなかった神性・尊厳が、小室母子によって毀損されるものなのだろうか。

また前述のB氏は同じ月刊誌の中で、現行憲法下においての内親王女王の降嫁について「八例を数えており以上の前例の中で今回のような問題があったとは寡聞にして聞かない」と書いている。まさに寡聞である。詳細は言いたくないし言うべきでもないが、挙げられた八例の冒頭の例でまさに大事件大悲劇が起こったではないか。昭憲皇太后のご実家一条家、英照皇太后と貞明皇后のご実家九条家と並ぶ五摂家の一つに降嫁された内親王がどれほど悲惨な目に遭ったかご存じないと見える。この御結婚の時はその悲惨な末路を一体誰が想像しただろうか。繰り返すが結婚とは運であり賭けである。そしてさらに言う。その天皇の姉君(民間人なので姉宮ではない)の夫の不祥事によって、天皇の尊厳が些かでも毀損されたのか。皆無ではないか。繰り返す。皇室の尊厳というが、既に天皇皇族は個人になってしまっており公人ではないのだ。そしてもう一つ。皇室の尊厳・神性がそれほど確固たるものであれば、姉の配偶者によってそれほど毀損されるものなのか、具体的にどういうふうに毀損されるのか教えていただきたいものだ。(続く)