kiji記事
【論説】変わりそうで変わらない芸能界の闇
芸人やアイドルによる芸能事務所からの退所が相次いでいる。理由は個々に異なるものの、かつては泣く子も黙る業界のボスとされてきたジャニーズや吉本興業などの大手芸能事務所と、円満退社だけでなく、喧嘩別れのように離脱するタレントも表れている。
芸能界は長らく闇権力の巣窟となってきた。スターに憧れ、大金を手にしたいタレント候補は、雨後の筍のように次々と現れる。楽曲やドラマ、番組がヒットし、たとえ一時的に人気者となっても、事務所の意向に逆らい独立を企図しようものなら、業界関係者に当該タレントを使わないようにお触れが回り、「裏切者」は業界で生き残ることはできず、場合によっては契約事項にしたがって本名を使っての芸能活動さえもできなくなってしまう。
そんな闇の世界にも、ようやく個人の尊厳が重視されるようになってきたのだろう。事務所が個人を縛ることが許されない時代になり、才能ある若者が次々と、実力だけを頼りにマネジメントも自ら行う時代になってきている。たとえ業界で干されてもユーチューバーとして独立して稼ぐことができるようになり、また露骨な嫌がらせやパワハラをSNSで訴えることができるようになった。
誰もが手元のスマホですぐに告発できる時代である。大手事務所からの退所は今後も続くだろう。人気ユーチューバーも経営陣に加わるUUUMのようなユーチューバー事務所もまた、退所する個人が多い。こちらは、企業案件を紹介される以上に、事務所への報酬負担が大き過ぎるという理由が主な理由になっている。
エンターテイメント業界において、外見や演技力などの才能によって一般人の中から選ばれる大手事務所所属のタレントが上位で、収入差はともかく誰もが簡単に参入できるユーチューバーが下位だとすれば、上位と下位の双方で独立の動きが激しくなっている。エンタメ業界は良くも悪くも、事務所のゴリ押しが通じたパワハラ時代から、個人の才覚がモノを言う結果重視の実力時代に突入したと言っていいのかもしれない。
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