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【論説】中国への危機感が鮮明に、米国が相次ぎ外交会談

※イメージ

 

3月中旬に入って、米国が対中包囲網の会談を慌ただしくセッティングした。3月5日から11日まで開催された中国の国会にあたる全国人民代表大会(全人代)で、香港の選挙制度見直しを決めるなど強権的体質をむき出しにし始めた習近平政権に対し、覇権国アメリカのリーダーシップを見せつける必要に迫られたとみられる。

 

まずは3月12日。日米豪印4カ国(QUAD、クアッド)首脳によるオンライン会合が行われた。呼びかけ人となったバイデン氏が臨む初の多国間首脳会談となった。同氏はコロナ対策としてワクチン増産の新共同パートナーシップ起ち上げを提案し合意した。ASEAN(東南アジア諸国連合)を含むインド太平洋地域に来年末までに最大10億回分のワクチンを供給する目標を決めたのだ。インドはワクチン製造で、日米は資金や技術で、オーストラリアは物流能力で中心的役割を担う方針だ。現在、発展途上国へのワクチン分配に尽力している国際的枠組み「COVAX」と提携し、構想を具体化する。

 

ただ、中国はすでに自国製のワクチン「シノバック」を東南アジア各国に配っている。IOC(国際オリンピック委員会)に働きかけて、東京五輪に参加する選手全員へのワクチン提供まで提案し、バッハ会長自ら発表している。

 

QUAD開催を呼び掛けたバイデン氏としては、安全保障分野での具体的言及に期待したが、国境問題を抱えるインドが中国を刺激したくない思惑もあり、直接的な言及や成果は得られなかった。また、ミャンマーの軍事クーデターに対する糾弾声明も出せなかった。これもまた、軍事政権が中国頼みになり、対立構図が浮き彫りになるのを避けたい思惑が働いたようだ。民主政権と軍事政権双方とのパイプを持つ日本への役回りに期待する狙いもあったとみられる。

 

3月16日には、来日した米国のブリンケン国務長官とオースティン国防長官が、茂木敏充外務相と岸信夫防衛相と安全保障協議委員会(2プラス2)を開催。発表された共同文書では、中国海警局の武器使用権限を明確化した海警法の施行に「深刻な懸念」を明記した。尖閣諸島が、日米安全保障条約第5条の対日防衛義務に適用されることも改めて確認された。

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