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【論説】英国がTPPへの加盟申請、QUAD参加も視野

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英国が、EU脱退に代わる貿易促進策として、TPP(環太平洋パートナーシップ協定)に加盟申請した。さらに、安倍晋三前首相が提唱し結成されたQUAD(クアッド、日米豪印戦略対話)にも関心を示しており、西側諸国による対中国包囲網が結束を強めつつある。

 

英国は昨年1月末、正式にEUを離脱した。1年前であれば中国との関係強化は自由で開かれた貿易のために必要不可欠な優先事項だっただろう。2028年にはGDPで米国を抜き世界一になる見通しの中国の経済力は、西欧の中で孤立化した英国には欠かせない成長のエンジンとなるからである。

 

ところが、コロナ禍の初期対応で情報を隠蔽し、謝罪よりも感染防止策の成功を世界に喧伝し、マスクやワクチン外交で恩を売る中国の価値観に保守派から疑問符がついた。決定的だったのは、昨年6月末に施行された「香港国家安全維持法」で、中国が香港に対し強権支配に転じたことだ。これにより、香港の一国二制度は完全に瓦解し、民主活動家ら100人近くが既に同法違反で逮捕されている。

 

1984年12月の英中共同声明では、1997年7月1日に英国が香港の主権を中国に返還後も、一国二制度をもとに、社会主義政策を将来50年(2047年まで)にわたって香港で実施しないことを約束していた。ところが2014年11月、中国は声明の無効を英国側に伝え、現地履行調査を拒否している。香港国家安全維持法の施行は、もはや英国との取り決めを名実共に完全無効化したと言える。

 

こうした状況の変化で、英国内でも中国に対する警戒感が急激に高まっている。英シンクタンク「ポリシー・エクスチェンジ」が昨年11月に発表した報告書では、「インド太平洋地域の状況は、EU離脱後の英国の戦略に大きな影響を与える」として、QUAD参加を提言している。

 

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