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昨年11月の米大統領選以来、私(記者)自身の政治的羅針盤がぐるぐると回り続け、依るべき信念が見通せなくなっている。

私は2016年のトランプ氏登場以来、一貫して彼を認めてこなかった。その言動全てが自らに利益を求める動機から発出されており、行き着く先は国粋主義、ナチズムに帰結すると懸念するが故である。

不幸にも共和党の予備選を勝ち抜き、大統領選にも勝ち抜き、恐ろしい4年間が始まったと落胆した。失望の4年間はほぼ不安視した通りのもので、政界のルーキーとは思えない実行力で彼は公約を次々と果たしていった。常識破りの実行力は一部の熱狂的な支持派を増やし続けた。

ところがこの1年、風向きが急に変わり始めた。コロナ禍と中国の存在である。COVID-19という死神を野に放ち、世界を席巻したことで途上国を従えてきた新時代の覇者は、たちまち世界のリスクと見做されるようになった。同時にトランプは分かりやすい仮想敵を見つけることに成功し、大統領選では親中か反中かが最大の争点にすり替わった。