平成30年(2018)5月9日、ワシントンのアンドルーズ空軍基地に到着した特別機にトランプ米大統領が乗り込みました。この特別機で米国に戻ってきたのは2年前に北朝鮮でスパイとして逮捕、抑留され解放された韓国系米国人ドンチョル・キム(金東哲)氏らでした。大統領はキム氏に「あなたは米国の英雄だ」「海外にいる国民の保護より優先順位が高いことはない」と言ったそうです。
8月28日の安倍総理の辞意表明で、これまで何度も繰り返されてきた「拉致問題は安倍政権の最重要課題」という言葉を思い出し、トランプ大統領の言葉と比べてため息が漏れました。もちろんパフォーマンスであることは明らかですし、米国もこれまで様々な形で国民を見捨ててきました。ですから額面通りに受け取ることはできませんが、それでも取り返してきてパフォーマンスをするのと、パフォーマンスで終わってしまったことの落差は感じざるをえません。
ただ、私たちにいつまでもため息をついていることは許されません。この変化をプラスに持って行くしかありません。その意味ではもはや「安倍政権なのだから拉致問題は任せておこう」というわけにはいかないのですから、もう一度国民が先頭に立って、誰が総理になろうが拉致問題を前に進めざるを得ないような状況を作ることです。
もともと、他のことはともかく拉致問題に関しては野党も政権の足を引っ張ることはほとんどありませんでした。おそらく次の総理が誰になっても同様でしょう、その素地はあるのですから、国民が声をあげれば動かせるはずです。私たちもその突破口をつくるためにがんばります。
なお、私は毎日5~10分程度のショートメッセージをYouTubeに挙げていますが、総理の辞意発表があったので臨時版で今日もう1本アップしました。よろしかったらご覧下さい。
https://youtu.be/U4PJI8mMZbE
それにしても安倍総理は憲政史上最長の政権となりながら拉致問題以外でも靖国神社の参拝や北方領土問題の解決、憲法改正などほとんどの重要公約を実現できませんでした。アベノミクスも最後の方は増税で経済を冷え込ませただけでした。病気だから仕方ないと言えばそれまでですが、納得のいかない国民は少なくないと思います。せめて靖国参拝くらいは総理を辞めた後でもやっていただきたいというのが正直なところです。それもできないなら他のことも含めて本当にやる気があったのだろうかと疑わざるをえません。
※この原稿は8月28日付「調査会NEWS3324」を加筆したものです。