shohyo「書評」

【僕たちは負けた側なのだから ザ・バンドが歌う南北戦争】 三浦小太郎(評論家)

 本稿は2018年に発行された「全日本南北共同フォーラム」の機関誌に執筆した原稿を加筆したものである。現在のアメリカの状況から、ぜひやまと新聞の読者にもお読みいただきたく掲載させていただいた。(三浦)

 

「僕は北部のリベラルな子供として、公民権運動に関わっていたし、南部に対してもある種の偏見があった。でもそんな僕のこだわりを、あの曲は一発で吹き飛ばしてくれたんだ。3分半の間に、名誉と土地と伝統への思い入れが、すべて余すところなく表現されている。聴いているうちに、僕はいつしか泣き出していた。」ジョナサン・タブリン

 

 カナダ人4人(ロビー・ロバートソン、リチャード・マニュエル、ガース・ハドソン、リック・ダンコ)と生粋のアメリカ南部男(リヴォン・ヘルム)によって編成されたバンド「ザ・バンド」は、1969年に「ザ・バンド」と題したセカンド・アルバムを発表する。実はこのアルバムのタイトル案には「アメリカ」というものがあったという。確かにアルバムには、過去でも未来でも現在でもない、いや、時代を越えてつながっているアメリカの全体像が奏でられているかに聴こえる。

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