中国のウイグル人女性への強制不妊手術に対するアジア自由民主連帯協議会抗議声明文
ウイグルにおける人権弾圧を調査している著名な学者、エイドリアン ゼンツ氏は、その最新報告書において、中国政府はウイグル人の絶滅政策の一環として、ウイグル人女性に対する強制的な不妊手術を実行するという犯罪的な行為を行っていることを、強制収容所生存者からの証言や、中国の公式文書に基づいて明らかにしています。
ゼンツ氏は、流出した中国政府の公式内部文書(通称「Karakaxリスト」)から、産児制限に違反したウイグル人に対し、処罰として強制収容所に長期監禁することが明記されていることを指摘しました。さらに2019年、ウィグル地区の農村における多くのウイグル人女性を対象にして、強制的な不妊手術を実行し、ホータン市のみで数十万人が犠牲になった危険性を指摘しています。また、中国政府は、新しいIUD(避妊具)のうち80%を、中国の人口の1.8%しか占めていない東トルキスタンに配布しています。ゼンツ氏の報告書では、この強制的な不妊計画は、ウイグル人口が密集している新疆南部のすべての市町村で実施され、2020年も継続中であることが明らかにされています。
この非人道的な政策は、ウイグル人の出生率に大きな影響を与えています。報告書によれば、東トルキスタンのウイグル人口がもっとも多い2つの県で、人口増加率が2015年から2018年にかけて84%減少し、2020年に、中国当局はウイグル地区で、ゼロに近い誕生率を示しています。
強制収容所の生存者と海外に逃れたウイグル人女性らの証言は、中国の上記政策を裏付けています。ほとんどの女性証言者は、収容所内で、定期的に錠剤と白い液体を摂取することを余儀なくされ、摂取後には女性達の意識不明になったり、月経が止まったことを証言しています。
この政策は、ウイグル人の人口増加を食い止め、現地の人口構造を人為的に変えています。一方、中国政府は、計画的に大量の漢民族を東トルキスタンに移住させ、その数は数百万にも昇っています。
中国政府がウイグル人女性に対して、大量不妊手術行った行為は、単なる、ウイグル人の人権侵害だけではなく、民族絶滅政策の一環であり、ローマ定款の第6条。子どもの権利に関する条約(CRC)や女性差別の撤廃に関する条約などの、国際的な様々な人権条約を踏みにじるものです。
世界ウイグル会議総裁のドルクン・エイサ氏は「このレポートの調査結果は、ウイグル人がこれまで恐れてきた事実を裏付けています。中国政府は私たちウイグル人を絶滅させようとしているのです」と明確に語っています。
また、中国政府は現在のウイグル人の子孫を根絶するためにウイグル人女性に強制不妊手術を行っているだけではなく、現在ウイグルで生活している子供たちを、両輪から引き離し「孤児院」に収容し、ウイグル人のアイデンティティを失わせる教育を行っています。この子供たちはウイグル語も奪われ、中国人として育てられているのです。
中国に対する列国議会同盟(IPAC)は記者会見で、国際連合総会での決議を通じて、国際社会に行動を起こすよう促しました。
何百万もの無実のウイグル人が強制収容所に拘留されています。同様の民族絶滅政策は、チベットや南モンゴルでも実行されており、今回の国家安全法制定後は、香港でもいずれ実行されることは確実です。この中国政府の行為を看過すれば、アジア全体が中国の覇権下に置かれ、同じ恐怖にさらされることになりかねません。
現在のウイグル人女性の悲劇が、いずれは香港人女性の悲劇となり、さらに日本を含むアジア全体の悲劇にさせない為に、中国政府の犯罪行為を今こそ停止させなければなりません。私たちアジア自由民主連帯協議会は、中国のウイグル人女性に対して行った強制不妊手術の即時停止を求めると共に、国際社会に中国政府に対して、国際法違反の犯罪を停止するまでに、経済制裁を含む、あらゆる制裁措置を課すことを強く求めます。
2020年7月7日
アジア自由民主連帯協議会
会長 ペマ・ギャルポ
理事 グリスタン・エズズ