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[キャッシュレス時代・給与銀行振り込み到来と共に去った父の権威]

若者は別として、一定以上の年配の人は初任給を貰った時、おそらく封筒に入った給料を上司や社長から受け取ったことと思う。封筒に入った現金は一か月の働きの対価であり、封筒の厚みに関係なく、無事に一か月を過ごし、次の月への意欲と感慨を持ったはずだ。

そして家に帰り妻や子供たちが「お父さん、ありがとう、お疲れ様」とねぎらいの言葉を受けたことと思う。父親は給料を家に持ち帰るときが最高のひと時であり、未来への希望を抱く日であったことだろう。

 

いつの間にか給料は銀行へ振り込まれ、ひと月の労働の実感は単なる口座の数字となった。

昭和40年代に3億円強奪事件があったこと、銀行業界などからの働きかけなどで、より安全性の高い銀行振り込みになった。

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