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【マリの喫茶室】 45 コロナ感染と正常化バイアス
「正常化バイアス」という言葉をご存じだろうか。
心理学用語で「自分にとって都合の悪い情報を無視したり、過小評価してしまう人の特性のこと」である。
コロナに当てはめれば、「自分は感染しない。もしくは感染しても無症状か軽症だから大丈夫」と考えてしまうこと。
(1)なぜ経済担当大臣がコロナ担当大臣?
テレビを見ていると、政治家は、この「正常化バイアス」にかかっているとしか思えない。
一番甚だしいのは、西村経済再生担当大臣である。
そもそも、緊急事態宣言は、経済の緊急事態ではない。コロナ感染拡大の緊急事態である。にもかかわらず、なぜ、経済再生担当大臣がコロナ担当大臣なのか。
この大臣をテレビで見ていると、自分は感染しない、という前提で話しているようにしか見えない。
そうでなければ、「休業要請は外出自粛の効果をみてから」という危機感のない発言は飛び出さないだろう。
(2)人命と経済は同列か?
アメリカのトランプ大統領も、当初は経済へ影響を懸念していたが、コロナ対策を最優先にした方が大統領選に有利と判断してからの切り替えは早かった。
「経済より人命」と明確に言い切った。
ところが、安倍総理は、いまだに「経済とコロナ」を同列に扱っているとしか思えない。休業要請もオフィスワーカーへのテレワーク奨励もかけ声ばかり。実効性のある政策がない。
コロナ対策も、「アベノマスク」と世界から嘲笑された布マスク配布に国費466億円を投入するというずれた感覚。医療崩壊を防ぐためにもっと国費を有効に使ってほしい。
PCR検査にしても、世界ではドライブスルー検査が導入されているのに、いまだに検査が抑制されている。発熱と咳で保健所に電話しても、すぐに検査してもらえることはまずない。その間に、軽症・無症状者から感染が拡大する。
切り札といわれる抗インフルエンザウイルス薬「アビガン」も6月末には治験を終了したい、という悠長な話である。それなら、希望者は皆治験に参加させてもらえるのか?
後手後手の安倍政権の施策が感染拡大を招いている。
小池都知事は、コロナ感染対策で存在感を示した。
安倍総理や西村大臣は、自らが感染しない限り変わらないのか?
経済活動は後でカバーできるが、失われた人命は元に戻らない。
安倍総理には、トランプ大統領のように、「経済より人命」とシンプルで明快なメッセージを発信してほしい。
SNSで自宅で犬とじゃれあう動画を流している場合じゃないでしょう。
一般庶民は生活保障なく休業するか、感染におびえながら働くしかないのだから。
(3)テレビにおける正常化パイアス
テレビに出てくるマスコミの皆さんも、自分は感染しないという「正常化バイアス」に
かかっているとしか思えない。
テレビをつけると、本日の感染者数をお決まりのように報道した後、お客が来なくて困っているという居酒屋の主人の映像を延々と流したりする。
不要不急の外出自粛を促しているのだから、居酒屋やバーにお客が来ないのは当然の帰結である。
テイクアウトのお惣菜やお弁当販売を始めた飲食店もある。日立やトヨタ、フランスではルイビィトンがマスク製造を始めている。嘆くだけでなく、その時々のニーズにあった工夫を自らしてほしい。そういう前向きな会社を報道してほしいものだ。
そして、最後にキャスターが「コロナ感染拡大防止も大事ですが、経済への影響も大事ですね。」などとコメントをしていた。
コロナ感染拡大と経済への影響を同列に考えているとしか思えない。
そういう危機感のないコメントを当たり前のように発言していた某ニュース番組の看板キャスターがコロナに感染した。
しかも、発熱があったにもかかわらずテレビに出演し続け、数日後息苦しさも出てきたのでようやく受診したという。
自分は感染しないという正常化バイアスに陥っていたとしたか考えられない。