kiji記事
[随想]特殊な穴が消えて、平凡な耳になった
生まれつき耳の付け根部分に直径1-2㎜程度の小さな穴が空いていた。耳瘻孔(じろうこう)と呼ばれ、妊娠期に母胎内で消えるはずの管上の穴がそのまま残ってしまう現象で、2.6%(男子2.4%、女子3.2%)の確率で生まれるという。
遺伝性が指摘される疾患で、両耳に生じている人も全症例中26%いるそうだ。自分の家族親戚にこの穴を持つ者はなく、私は左耳にのみあった。幼少期から自分が神童か何か、特別な存在として生まれたことを暗示するマークだと都合よく思い込んできた。そこそこ成績も良く、左利きで、つむじが3つあることと合わせて、自身の特異性を裏付ける証拠の1つとして、アイデンティティーを喪失する思春期までは、割とお気に入りの特徴だった。
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