araki「拉致問題の闇を切る」

齋藤武さんについて 荒木和博(特定失踪者問題調査会 代表)

 前回の「げすのかんぐり」の続きのような話です。
 9月6日、警察庁は特定失踪者齋藤武さん他1名の消息を確認したと発表しました。発表の内容は以下の通りです。もう1人の方は調査会のリストでは非公開の方にも該当者がないため、警察リストの非公開者だと思います。齋藤武さんは山形県酒田市出身で、昭和58年(1983)横浜で失踪していました。
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(警察庁が発表した内容)
 今般、山形県警察等における捜査・調査の結果、昭和58年に失踪した齋藤武さん(男性・行方不明当時38歳)を国内において御遺体で発見した。また、警視庁における捜査・調査の結果、平成2年に失踪した女性(現在60歳代)を国内で発見した。これにより、北朝鮮による拉致の可能性を排除できない事案に係る方々の数は、879人となった。
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 齋藤武さんご本人が亡くなられたことは間違いないようなのですが、その後いくつも疑問が出てきました。
 まず、後の報道で亡くなったのが昨年4月ということが明らかになりました。つまり亡くなってから発表まで1年5カ月かかったわけです。DNA鑑定くらいはしたでしょうが、それにしてもDNA鑑定に1年半近くかかるはずはありません。おそらくはDNA鑑定などしなくても齋藤武さんであると特定できる書類かなにかがあったのではないでしょうか。調査会ではこの時期の行方不明遺体(行旅死亡人)に関する官報を調べてみましたが、そこには齋藤武さんと思われる遺体がないのです。つまりそれは、遺体が発見されてまもなく、警察がその遺体を齊藤武さんであると確認したことになります。
 それともう一つ、報道では「遺体の状況や服装、所持品などから、斎藤さんが北朝鮮に入国した形跡はないと断定した」(地元山形のさくらんぼTV)となっており、拉致の可能性はないと発表されています。しかし、遺体の状況や服装、所持品などからどうやって北朝鮮に入国した形跡はないと言えるのでしょうか。拉致認定には後ろ向きどころか「意地でも認定しない」という姿勢なのに、拉致でないという話になると簡単に断定するというのはどう考えても納得できません。ちなみに拉致されてから何らかの理由で日本に密入国させられた、あるいは戻ってきた被害者が何人もいることは警察もつかんでいます。
 齋藤武さんが拉致の被害者で日本に戻ってきて亡くなっていたという可能性は低いかもしれませんし、そうでないことを祈りますが、本件については疑問点はこれだけではありません。例えば、警察はご家族に説明したと言っているのですが、誰に話したのか全くわからないのです。ご両親は物故されており、一番探していたお兄さんは昨年の1月に亡くなっています。お姉さんはさらに前に亡くなっており、本人は独身ですから、つながりとすると一番近いのはお兄さんの二人いる息子さんですが、少なくとも長男には連絡をしていないようです。遺骨がどうなっているのかも分かりません。
 山形県酒田市を拠点に活動している庄内ブルーリボンの会(佐藤忠智会長)は地元出身である齋藤武さんのことを中心に活動をしてきました。佐藤会長は会発足以来、県警からは度々接触を受け、齋藤武さんについても情報を伝えてきたにもかかわらず、今回は何の報告もなかったそうです。
 いずれにしても本件については警察の動きはどうも不自然であり、何かの問題があることは間違いないようです。御参考まで下に今日付の佐藤会長から県警本部長に対する情報公開を求める質問状を全文添付しますが、見ていただいて分かるように不審な点は一つ二つではありません。
 前に書いた「山本美保さんDNA偽装事件」をはじめ、政府や警察の隠蔽や捏造には慣れていますので、「また何かやっているな」とは分かるのですが、これで「オールジャパン」とは何だろうかと思います。齋藤さんの件については去る9月16日の「国民大集会」の場でも話しましたが、少なくとも「安倍さんだから任していれば良い」というのは間違いだと思います。
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 2019年9月27日
山形県警察署本部長 一瀬圭一 様

北朝鮮による拉致の可能性が排除できない失踪者であった齋藤武くんの情報公開を求めます。
庄内ブルーリボンの会会長 佐藤忠智

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