shohyo「書評」

【CD「天正遣欧使節の音楽/アントネッロ」】 ―日本人にしか作れなかった東西ルネッサンス融合音楽― 三浦小太郎(評論家)

今回は素晴らしいCDを紹介したい。「天正遣欧使節の音楽」アントネッロ演奏(発売元: ANTHONELLO MODE)演奏者、アントネッロは鹿児島県出身の濱田芳通を中心とした、中世。ルネッサンス時代の音楽をユニークな解釈で演奏する楽団だが(この「楽団」という言葉こそが、この作品にはふさわしい)このCDでは戦国時代の天正遣欧使節をテーマに、見事なまでに日本とヨーロッパの間に想像力の橋を架け、東西の「ルネッサンス時代」の音楽を融合させることに成功している。
 
日本の戦国時代、そして、やや国によって時期にずれはあるにせよ、ヨーロッパの中世末期からルネッサンスを経て新たな王制国家誕生に至る時代は、ともに、「戦国乱世」における弱肉強食、そして伝統秩序の解体による荒々しいまでの「個性」が発揮された時代でもあった。イタリア・ルネッサンスが輝かしい芸術復興の時代であると同時に、殺人も戦争も日常的な出来事であったことは、史家ブルクハルトや、日本における会田雄次の研究によって明らかである。そして同じく、日本の戦国時代も、桃山文化は花開き、鎌倉仏教という日本「宗教改革」は人々の心をとらえた。

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