araki「拉致問題の闇を切る」

昨年以上に漂着している北朝鮮木造船   荒木和博

 11月になってから、北海道を中心に昨年以上の数の北朝鮮木造船が漂着しています。それも北海道への漂着は異常ともいえる状態です。
 
 下に載せた一覧は10月以降ですが、これでもおそらくすべてを網羅できていません。例えば11月17日付「秋田魁新報」の記事には「11月だけで計43件の漂流、漂着が見つかり、15日正午からの24時間で6件の漂着を確認している」とあります。海保の情報でしょうが、私の表に載せてあるものでは全く数が足りません。11月25日付石川の「北國新聞」には「青森、秋田、山形各県の海岸で24日、無人の木造船5隻が相次いで漂着しているのが見つかった。いずれも周囲に人影はなかった。青森、秋田、酒田(山形県)の各海上保安部は、船の形状や船体に書かれた数字の特徴から北朝鮮船の可能性があるとみている。各海保によると、青森県五所川原市、鰺ヶ沢町、深浦町、秋田県八峰町、山形県遊佐町で1隻ずつ見つかった。5隻とも船首付近に「587-62796」などの数字表記があり、うち1隻にはイカ釣り用の針や漁網が残されていた。青森、山形の4隻の長さは約8~13メートル。秋田の1隻は浅瀬に乗り上げており、25日以降に調べる」と書かれています。この5隻も支援者の方が記事を送ってくれるまで確認していませんでした。
 
 いったい何が起きているのでしょう。「一攫千金を狙って無理な操業」と言う人もいます。あるは過大なノルマが課されて無理に操業している可能性もあります。実際そのような船があることも事実だと思います。先日自民党の会議に出た海保の担当者は使わなくなった木造船を廃棄したものが流れ着いたケースもあると言っていました。それも否定はできません(ただし廃棄するにしてもわざわざ沖合まで引っ張って行って流す必要があるのかどうかは疑問ですが)。
 
 漂着した船はどれも長期間漂流していたもので、これに工作員が乗っていたとは思いにくいのですが、多数の漂着船に紛れ込ませて工作員を木造船で入れることも想定しておく必要があります。昨年11月秋田県由利本荘市と北海道松前町に上陸した計18人(20人との説も)は陸地に上陸するまで誰も気付いていないのです。おそらくこれからやってくる人間もほとんどは誰も気付かないうちに上陸してしまうと思います。そしてそれへの対処は海保でも警察でも、さらに言えば自衛隊を出してきても間に合いません。北朝鮮は「海の向こう」ではなく「対岸」であると思わなければなりません。
 
 宣伝になりますがこんな状況に多少なりとも警鐘を鳴らすため、12月に新著『北朝鮮の漂着船 海からやってくる新たな脅威』を草思社から上梓することになりました。10日頃から書店に並ぶ予定です。ご関心のある方は御一読いただけると幸いです。
 

 
(10月以降、筆者が把握している北朝鮮木造船の漂流着岸)
 
10月5日  北海道苫前郡羽幌町焼尻島白浜付近海岸岩場 木造船(長さ約10.6m幅約2.4m 船体に赤色で数字とハングル表示。
10月14日 新潟県新潟市沖 木造船(長さ約15m 船内からハングルの書かれた看板、中国製無線機、スピーカー、ヘッドライト 11月1日新潟港に引き上げ) 遺体1体(上半身の一部とほぼ白骨化した下半身 黒っぽいズボン)発見
10月21日 北海道小樽市沖 木造船(長さ約10メートル幅約3メートル船首部分白地に赤の数字)・遺体1体(一部白骨化)
10月29日 北海道松前郡福島町 木造船(ㅈ-세 912040 용암と記載)
10月30日 北海道松前郡松前町 木造船(ㅈ-세912231)
11月1日 北海道利尻郡利尻町沓形港北3キロ 木造船(長さ約10メートル幅2~3メートル 船尾損失 数字記載)
11月1日 北海道寿都郡寿都町歌棄町 木造船(長さ約11メートル幅約3メートル 白地に赤のハングルと数字)
11月2日 青森県下北郡大間町 大間崎灯台から北約4キロ沖合 木造船(他に大間町奥戸地区の沖合でも、ほぼ沈んだ状態で漁具に絡まる木造と思われる船を1隻確認)
11月5日 北海道函館市志海苔漁港沖定置網 木造船(船首部3分の1脱落・長さ約6.7m)
11月5日 北海道檜山郡上ノ国町 木造船(長さ約12m幅2.5~3m ハングル表記)
11月5日 北海道苫前郡初山別村沖 木造船(長さ約12m幅2.5~3m ハングル表記)
11月5日 北海道苫前郡苫前町 木造船(長さ約12m幅2.5~3m)
11月5日 北海道二海郡八雲町熊石漁港沖 木造船の一部(船首部分約3m 赤い文字でハングルと数字の記載)
11月6日 秋田県潟上市出戸浜海水浴場 木造船の一部(長さ約10.4m幅約1.8m)
11月6日 北海道久遠郡せたな町北檜山区鵜泊漁港南500m 木造船の一部(長さ約3m幅約2.5m高さ約1m)
11月6日 北海道積丹郡積丹町美国漁港沖 木造船(長さ約13m幅約3m 船体にハングル表記)
11月7日 北海道奥尻郡奥尻町湯浜ホヤ石北300m 木造船(長さ約10m幅約2m 白地に赤色の数字)
11月7日 北海道留萌郡小平町花岡 木造船(長さ約11m幅約3m 船首付近に赤色のハングルと数字)
11月7日 北海道寿都郡寿都町寿都漁港沖 木造船(長さ約11m幅約3m 船体後部にハングルと数字)
11月8日 北海道函館市大鼻岬沖 木造船(長さ約13m幅約3m 白地に赤色の文字 9日に木古内町札苅地区に漂着)
11月9日 北海道久遠郡せたな町大成区富磯 木造船(長さ約8m幅約3m)
11月10日 北海道利尻郡利尻富士町鬼脇石埼東西付近 木造船(長さ約16m幅約3m 船首付近に赤字の数字)
11月10日 青森県北津軽郡中泊町下前漁港沖 木造船
11月12日 秋田県秋田市浜田海水浴場北1km 木造船(長さ約11.9m幅約2.4m高さ約1.4m 船首にハングルと数字)
11月13日 北海道松前郡松前町白神岬沖 遺体1体(身長約173cm推定体重約65kg外傷なし上半身裸で黒のカーゴパンツ)
11月13日 北海道久遠郡せたな町瀬棚南西側(船首にハングルと数字、船上にやぐら状の構造物)
11月13日 青森県佐井村牛滝漁港南方4キロ 木造船
11月15日 北海道島牧郡島牧村村原歌町海岸 木造船(長さ約12m幅約3m 船内にハングル表記のある袋。船首に白地に赤の数字)
11月16日 北海道檜山郡上ノ国町大安在 木造船(長さ約11m幅約2.6m 船首に白地に赤の数字とハングル)
11月16日 秋田県にかほ市芹田字門脇 遺体1体(身長約1.7m 紺色トランクス 手足の一部白骨化 )
11月17日 秋田県男鹿市男鹿中浜間口五里合海水浴場南西4.5km 木造船(長さ約8.5m幅約2.1m高さ約1.2m 船体にハングルと数字)
11月18日 北海道松前郡松前町 木造船2隻①小浜(長さ約10.2m幅約2.3m)②弁天漁港沖合岩礁 (長さ約10m幅2m)
11月19日 青森県つがる市富萢町車力漁港から約700メートル北 木造船の一部(ハングル表記で所属港等記載)
11月19日 北海道古宇郡神恵内村珊内村 木造船(長さ約10m幅約3m 船体に赤色でハングル表記)
11月20日 北海道積丹郡積丹町神威岬近く 木造船(長さ約13m幅約3m 船体に赤色でハングル表記)
11月20日 山形県飽海郡遊佐町菅里 十里塚海水浴場 木造船(長さ11m幅約3m 船首に数字の表記)
※21日河北新報の記事では「ほかにも山形県の沖合で20日現在、3隻の木造船が漂流している」とある。
11月21日 北海道島牧郡島牧村村栄浜 木造船(長さ約12m幅約2m 船体に赤色でハングルと数字の表記)
11月21日 山形県飽海郡遊佐町吹浦 月光川河口 木造船(長さ約7m幅約3m 船首に数字やハングル)
11月21日 北海道稚内市抜海村オネトマナイ海岸 木造船(船首部分と船尾部分が別々に漂着)
11月23日 秋田県にかほ市象潟町象潟川河口 木造船(船体にハングル)
11月23日 新潟県村上市今川 木造船(長さ約10m幅約3m 船尾にハングル)
11月23日 石川県志賀町笹波 木造船の一部(船首部分長さ約3m幅約2m 内部にハングル 外板両側に523-62807)
11月23日 石川県珠洲市長橋町 木造船(長さ約7.8m幅約2.5m船体中央から後部が失われていた 船首両側に白地で赤字で「539-66699」と記載内部から鉄製のかじや空の布袋、スプーン、漁網)
11月23日 京都府京丹後市丹後町間人漁港 木造船の一部(長さ4.65m幅約1.8m、長さ約1.45m幅約1.95m)
11月24日 石川県輪島市島崎町鴨ケ浦海岸 木造船の一部(船首部長さ約3.6m幅約2.2m他に長さ約3m幅約2mの木片4個 船首部には白地に赤で「58090034」との数字