minsha 「とおる雑言」
「とおる雑言」 出版社は生き残りに懸命 寺井 融 アジア母子福祉協会監事
出版界は、明らかに衰退の道をたどっている。書籍、月刊誌、週刊誌、コミック、文庫と、いずれの発効部数も年々減っている。かつて三万軒もあった本屋も、いまは一万二千軒になったと聞く。
小学校で「読書感想文を書かせるから、本嫌いが増え、作文も書けなくなる」という人がいる。逆に「ゆとり教育のころ、読書感想文も書かせなくなったため、本にふれる機会が減ったから」と反論する人もいる。さらに、ゲーム機やユーチュブなどの発達もある。活字から映像に、興味が移ったのだ。
とは言え、活字世代の高齢者は図書館に行く。まず新聞、次に週刊誌、そしてベストセラーに目を通す常連が多い。入館者数や一冊あたりの回転数も問われ、アンケートにも気を配る。「いつも貸し出し中」を避けるため、人気本を十冊も揃えたりする。まるでレンタルDVD屋みたい。
そうなると、年に一人が閲覧するかどうかの学術書ははじかれる。図書館と研究室で一定部数の購入を期待していた専門書出版社は立ち行かない。一般出版社も読者減に図書館の充実や古本市場の活況化もあって、経営が苦しくなってきている。ごく少数の売れっ子に頼り宣伝等で売り込んでいくか、著者自身のお買い上げ商品を作るか、あるいは儲かっていた時代に建てた自社ビルを活用するか。
私事となるが、九冊目の「日本語を書く!」(ゴマブックス)を電子書籍で出版した。中島孝志氏との共著である。読んでいただきたい。最後は宣伝となりました。お許しを。