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なぜ代議士が衆院議員だけを表すのか
ドラマなどで「代議士」という言葉が用いられる影響からか、「代議士は国会議員の代名詞」と勘違いしている人は多い。衆議院議員だけを指し、参議院議員は含まれないが、なぜこのような呼び名があるのだろうか?
参議院は戦前、貴族院だった。華族や元官僚、学識経験者、高額納税者などから選出された非民選議員の院であり、一般国民の代表は衆議院が担った。衆院議員が「国民に代わって議事に携わる」ことから、敬意と親しみを込めて「代議士」と呼ばれ、その名残が現在でも続いている。
日本国憲法では、全ての国会議員が「全国民を代表」する民選議員となったので、本来の語源に立ち返れば衆参問わず「代議士」と呼んでもいいはず。しかし、衆議院だけに解散があることや、参議院よりも任期が短いことから、国民の意思がより反映されていると解釈できる。このため、予算先議権や内閣不信任決議が認められるなど「衆議院の優越」が与えられており、現在でも「国民により近い立場」であることから、「代議士」の敬称も衆院議員だけに限定されているのではないかと考えられる。
国会内で行なわれる「代議士会」は衆議院議員のみの議員総会であり、衆参あわせての議員総会は「両院議員総会」と呼ばれる。永田町では厳密に適用されており、代議士という呼称に誇りを持つ議員もいる。
とはいえ、言葉の意味は時代のニーズと共に変化する。国民がその違いに関心を持たなくなれば、「代議士」の役割も変わっていくのかもしれない。