contribution寄稿・コラム
「行ってわかった国連の真実」「 ②国連は…『素人』『無責任』組織?!」 元衆議院議員 田沼隆志
「行ってわかった国連の真実」
②国連は…「素人」「無責任」組織?!
元衆議院議員 田沼隆志
今回私が参加させてもらったのは、「慰安婦の真実国民運動」の訪問団です。
『慰安婦問題で日本の名誉を守ろうとする立場の、個人・諸団体の連絡組織とし平成25年(2013年)7月に結成』された国民運動は、これまでも世界における慰安婦問題の誤解を解くべく活動してきました。私も衆議院議員現職時代に若干ご縁を頂いていました。
この「国民運動」は、たびたび国連等に訪問団を派遣し、日本のNGOとしては唯一の保守側として、国際社会で発信活動をしてきました。杉田水脈さんも私とともに平成26年に落選したあと、この国民運動に参加し、成果をあげてきたのは、先述の通りです。
私は、国連はもちろんのこと、スイスの訪問も初めてでしたが、行ってみてまず驚いたのは…スイスは物価が高い!
マクドナルドのセットが13フラン、つまり1500円弱と、日本の3倍近い!
最低賃金も、時給2500円、月給47万円とのこと。仰天! 当然ですが何もかも高い。ペットボトルジュースも500円するのには参りました。
日本はデフレが続いているからそう感じるのでしょうか。驚愕しました。
国連職員も、物価の安いフランスに住み、生活はフランスでしつつも、お給料は国連の高い水準をもらう人が多いらしいです。移動の自由のあるシェンゲン協定のおかげでしょうが、これでいいのか、勤務する組織や地域へのロイヤリティは担保できるのかな、と思ったりもしました。
国連欧州本部はそのような、世界的に見て“高級な人達の集まり”なので、端々に問題と思われる特徴がありました。
まず全体として、雰囲気がもう“おのぼりさん”というか、特権階級の集まりです。国連加盟国193ヶ国の大半は途上国なわけですが、そこからこの“ハイレベルな”世界に来ると、まるで夢の世界のような恵まれた環境です。特権階級としての恩恵を存分に享受する心理というか、平たく言うと、「ウキウキしている」印象を持ちました。
かつ、たとえば人権理事会の審査委員47ヶ国にその国の人が任命されたとしても、自国と関係ない他国の人権状況を審査するわけですから、ある意味気楽というか、無責任でいられます。それに、仮にその国を代表する優秀な委員が任命されているとしても、さすがに他国の人権状況や文化的慣習なまでには詳しいわけではありません。ですので、審査する能力があるか、いや審査するモチベーションや責任があるのか、大変疑がわしいと感じました。
実際、途上国の一部は、自国の政治闘争の中で現政権に協力した人間への論功行賞として、国連ポストを渡したりもしているそうです。本国における所得を大幅に上回る高給がもらえるのですから、有効でしょう。
語弊を恐れずいうと、「素人が」「無責任に」集っている場所だと感じました。
しかもタチが悪いのは、世界機関であるがためでしょうか、相応に権威が高いということです。そのため、民間NGOとして国連の問題点を指摘するにも、権威を傷付けるような批判的言い方はできません。
また組織面機能面で明らかに問題があったとしても、改善に向けた改革もなかなかできません。まさに“象牙の塔”です。それゆえ先日報道されていた「国連総会は4日、グテレス事務総長以外の国連職員の出張で飛行機のファーストクラスの使用を禁止する決議を採択」のような馬鹿馬鹿しいことなども、話題となってしまいます。
こういう“権威ある無責任組織”、まさに官僚主義そのものなので、非効率や無駄も随所にみられます。
時間も結構ルーズ。NGOスピーチも、私は今回無事に、予定日にできましたが、時にはフタを開いたら時間が超過したので急きょ翌日に回されてしまうこともあるそうです。滞在日程の関係でその結果スピーチできないNGOもあったりするそうです。
国連職員も熱心に仕事をするという感じではなく、定められたことを淡々とこなしている雰囲気。入館スタッフも、偉そうな割に仕事はダラダラしており、どんなに混んでいて長蛇の列となっていても、全然気にしない。しかもこれを批判することはできず待つしかない…まあそう感じるのは、日本人の接客サービスの水準が、ハイレベル過ぎるからかもしれませんが。
同じく気になったのが、雑然とした大量の紙類。主にNGOがそれぞれの訴えやサイドイベント(啓発講演会)のチラシを配布したりしていましたが、たくさんのものが雑然と置かれていて、こんな原始的なやり方でいいのか? そもそもこういう情報はここに来る人に伝わっているのだろうか? と疑問を抱きました。
また大量の紙類も、これを誰が読むのか? 日本の国会や地方議会でも、行政がアリバイのために大量に印刷していますが、それを上回る量の印刷物が、しかもその多くは国連公用語の6ヶ国語で! 発行されているのです… なおかつ、国連は本部だけでなく、多くの専門機関も周辺にあり、同じような書類が作成されています。まさに天文学的な印刷物が発行され、しかもその多くは誰も利用しない。無駄の極みではないでしょうか。
こういった組織としての問題が、様々あるわけですが、その中でも特に象徴的なのが「特別報告者」制度です。実はこの制度がひどいため、慰安婦問題もここまで大きな名誉毀損の問題となってしまったのです…(続く)
元衆議院議員 田沼隆志
略歴:
昭和50(1975)年 千葉市生まれ 千葉市在住 3児の父
千葉市内公立校を経て、東京大学卒
外資系経営コンサルティング会社 アクセンチュア勤務
鹿児島県知覧の特攻記念館で実物の遺書に感銘、英霊に応えるべくゼロから政界入り
千葉市議会議員2期、衆議院議員1期 現職時代は教育委員会改革や教科書採択正常化、歴史問題など、教育分野を中心に日本の名誉を守る活動に打ち込む
現在再起を期して活動中
一般社団法人にほん塾代表理事 地元で「おやこで寺子屋」開催、子供に日本の基礎知識を講話している
趣味は合唱 「合唱団からたち」団長 チバテレビ「カラオケ大賞21」に出演、週チャンピオン獲得