cc「中朝国境の旅」
連載第22回 日本語練習帳 日本野牧雅子(宮塚コリア研究所研究員)
連載第22回 日本語練習帳
野牧雅子(宮塚コリア研究所研究員)
私の夫宮塚利雄が、北朝鮮の生活グッズを収集している、ということは世の中によく知られている。彼の集めた「グッズ」の中に、日本語の指導書が二冊ある。特に、会話に重点を置いた指導内容であるが、北朝鮮は何のためにこれらを作成したのか、誰が何のこの指導書を持たされたのかは、まったく分からない。本来、北朝鮮は反日を標榜しており、日帝統治時代の残滓であるとのことで、漢字さえ廃止しており(これは韓国も同じ)、一般庶民が日本語を勉強することはない。だから、日本語を勉強する、ということは何かしらの目的をもって当局(金日成、金正日、金正恩)が誰かに、日本語の学習を命令していた、と考えるべきである。
これら、二つの指導書の一つには、「鴨緑江講習所1989」とあり、1989年頃、使われたものと考えられる。
なお、これから、読者の皆さんに提示する引用については、この二つのどちらに書いてあるか、ということは煩瑣になるので省略することとする。どちらかの指導書から引用された、と理解していただきたい。
これらの指導書は、おそらく、さしせまって日常生活に必要な会話の習得を目指したものであるらしい。だから、タクシーに乗るときの会話、医者にかかるときの会話、買い物をする時の会話例などがある。そして、これらの会話には、一応、日本語ではあるものの、日本ではあまりない言葉も見られる。
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