contribution寄稿・コラム
【特別寄稿】 内閣総理大臣は、内閣の首班であり行政権は内閣に属する 西村眞悟
【特別寄稿】
内閣総理大臣は、内閣の首班であり行政権は内閣に属する
西村眞悟
確か福沢諭吉だったと思うが、我が国が置かれている状況を、その頃日本橋にあった魚市場の「まな板の上に乗せられている鯉」に例えていた。その鯉は、自分が何処に乗っているかには全く無関心で頓着なく過ごしている。しかし、このままではもうすぐ解体され食われるというわけだ。
そして、現在の日本橋の魚市場ならぬ永田町の我が国会では、七月二十三日、衆議院予算委員会が、安倍総理も出席して、加計学園の獣医学部新設問題に関して閉会中審査をしている。
その馬鹿馬鹿しい状況をTVで見た。そして、思った。この連中は、魚市場のまな板の上に喜んで乗って飛び跳ねている鯉だ、と。
こともあろうに!本年に入って、我が国のマスコミと国会は、森友学園問題そして加計学園問題に半年近くも掛かり切りではないか。付録はヒステリー発作議員の言動。なぜ、「こともあろうに!」か。それは、我が国を取り巻く情勢、つまり、まな板が、まさに本年に入って地殻変動を起こしているからだ。
本年一月、アメリカではトランプ政権が発足し、北朝鮮が国際秩序に挑戦するかのように、核実験とミサイル発射を繰り返して七月四日のアメリカのナショナル・デーに大陸間弾道ミサイル(ICBM)を発射したことから明らかであろう。同時に、見過ごしてはいけない。この間、中共とロシアは何をしているのか。中共軍機とロシア軍機の我が国の領空接近に対する航空自衛隊機のスクランブル発進は、冷戦期の密度を遙かに超えて一日ほぼ三回である。そして、ロシアは我が国の固有の領土である国後と択捉に最新鋭ミサイル基地を建設し、中共は南シナ海に軍事基地を建設して我が国の尖閣をまさに奪いに来ているのだ。
この状況下で、国会は、森友問題と加計問題で半年費やし衆議院予算委員会で集中審議とは、これこそ、まさに、「こともあろうに!」ではないか。この国会の状況は、国家に存亡の危機をもたらすものであり、これは、死に値する背信である。
では、その止まらないサイクルは、如何にして始まったか。
まず森友学園問題、それを週刊誌が報道すると、その週刊誌ネタを朝日新聞や毎日新聞や東京新聞や各TV局などが恥も外聞もなく一面で取り上げる、すると他に考えることがない野党が、このネタに飛びついて国会で質問し始める、すると、その質問に対して、総理大臣が、その疑惑が真実ならば総理を辞めるのみではなく衆議院議員も辞める、と応じた、ここで始まったのだ。
何故なら、ここで総理大臣は、「疑惑が無い」ということを完璧に証明しなければ、疑惑を払拭できなくなったからである。つまり、総理大臣、そこまで言うならば、疑惑が無いことを明確に示してみせてくれと言うことになるではないか。
しかし、「無い」ことを「無い」と証明することは不可能だ。従って、マスコミと野党にとって、疑惑が「在る在る」と「言い続けること」だけが仕事(ビジネス)となった。そして、マスコミ自慢の世論調査で、内閣支持率が下落し始めるのを確認するや、マスコミと野党の、この頭も手間もかからないビジネスに拍車が入り、この度の衆議院集中審議となって、これからも続くという訳だ。
しかし、この説明は、表面つまり劇場に現れたきれいごとだ。このサイクルの本質は、倒閣運動であり、反軍事基地や反原発や反安保法制や反共謀罪運動と連動した日本解体運動である。その証拠に、森友や加計問題以上の重大問題である外国人が我が国の国会議員や大臣を務めていたという「蓮舫問題」は、マスコミも野党も取り上げないではないか。
この我が国の状況を中共と北朝鮮とロシアが喜んでいる。ソビエトの諜報謀略組織であった国家保安委員会(KGB)で、プーチン大統領の先輩であるソ連の対日スパイであったレフチェンコは、亡命したアメリカで「日本はスパイ天国だ」と証言した。従って現在に至るもスパイ防止法の無い我が国は、今も、「スパイ天国」のままであることを肝に銘じてほしい。それ故、確実に、我が国内における右三国の日本弱体化のための工作活動と日本共産党の革命路線がこの運動に関与し、推進している。
即ち、いかなるデマゴーグを用いてでも、日本国民の中に、反政府感情を醸成し糾合して反政府運動を展開する共産党の「人民戦線方式」と、共産主義者であることを隠してブルジョア組織の中に浸透して、内部からブルジョア組織を崩壊させて共産主義革命を達成しようとする「コミンテルン戦略」が、現在の我が国で目的を達しようとしているのだ。
そのブルジョア組織に身分を隠して浸透する共産主義者をフロントという。では、今、フロントは何処に潜入しているのか。それは、マスコミ界、国会そして財界と官庁例えば文部科学省である。「女性の貧困調査」をしていた文部科学省の元事務次官が内部告発をした。この者が「フロントではない」と証明できるのか。
これが、この度、回り始めたサイクルの本質である。
従って、総理大臣が衆議院予算委員会でも述べていたように、「真摯に説明すれば国民は納得し、疑惑は解消する」という次元で対処すべきことではない。総理大臣が直面している真の相手は、「日本を取り戻す」の反対勢力、つまり、「日本を解体する」という、いくら説明しても無駄な左翼、反日勢力である。
よって、ここにおいて、安倍晋三内閣総理大臣に、国家と民族のために要請したい。
安倍総理は、衆議院と参議院において多数をしめる与党を政権の基盤としている。ここが約十年前に悪夢のような民主党政権が誕生した状況とは全く違うことである。
従って、安倍総理は天皇陛下から任命された日本国の内閣総理大臣として、加計学園と森友学園に関して、次の通り、国民に向かって公言されたい。
内閣総理大臣は、内閣の首班であり行政権は内閣に属する。
従って、行政の津々浦々に首班たる内閣総理大臣の意向が反映することは当たり前であり、加計学園の獣医学部設置に関しても、総理大臣の意向が反映するのは当たり前ではないか。ここに公的な秩序はあれ、私的な要因はない。
その総理大臣の意向を、文部科学省の行政を歪めるものであるかのごとく吹聴する元文部事務次官は、無能を通り越して、行政の秩序をないがしろにする裏切り者である。
森友学園の運営する幼稚園は、教育勅語を園児に暗唱させている。
これは、「日本を取り戻す」幼児教育で在り、すばらしいと思う。
だから妻も私も応援した。これに、何か文句があるのか。
国家の将来を明るくする民間の創意と活力を支援するのは、政治家の心得の要諦ではないか。
以上を明言した上で、内閣総理大臣は、まず、伊勢神宮と靖国神社に参拝して、我が国の根源にある神秘と、その我が国を守るために命を捧げた英霊のご加護を願い、国民の前に安倍内閣の国家目標をまっすぐに掲げていただきたい。
その目標とは、日本を取り戻し、我が国を取り巻くまことに厳しい内外の情勢を克服する大道、即ち、国防である。
国防は、国家を守り国民の命を守る。即ち、国防は最大の福祉である。
国家が無くて福祉があろうか。
国民の命を守れない国家が福祉を為せようか。
国防こそ、現在の日本国民が自らと子孫のために腹の底から願う課題であり、内閣総理大臣の乗り出すべき課題であることを確信されよ。
そう、岸信介総理が、安保改定の必要性を確信したように。
この七月四日の北朝鮮のアメリカに届くICBM発射によって、アメリカは、我が国に「核の傘」をさせなくなったのだ。従って、従来から繰り返されてきた我が国政府のアメリカの「核の傘」によって、我が国の安全は確保されているとの根拠は完全に消滅した。アメリカファーストの、トランプ大統領でなくとも、全てのアメリカ大統領はサンフランシスコやロサンジェルスにICBMが落ちる危険を承知で我が国を守れない。第一、自国民の犠牲を甘受して他国を守ろうとするアメリカ大統領候補が当選するはずがない。
よって、我が国は、今こそ、自らの「核抑止力」を確保しなければならない段階に達している。
そこで、最後に指摘する。それは内閣改造である。
断じて、逃げの改造ではだめだ。今の反政府サイクルを切断できない。
ポイントは、外交と国防だ。世界が、特に中共、ロシア、北朝鮮があっと驚く人事だ。なぜなら、我が国は現在「平和を望むならば戦いに備えよ」という古代ローマ以来の格言を東アジアの平和のために実践しなければならない状況であるからだ。
自民党議員にはその人材は無い。そこで言う。外交は、京都大学名誉教授の中西輝政氏、もしくは櫻井よしこ女史、国防は元航空幕僚長田母神俊雄氏もしくは東日本大震災時の陸上幕僚長火箱芳文氏は如何か。中共は愕然とし態度は、その瞬間から一変する。
(追記)
本寄稿は『西村眞悟の時事通信』(http://www.n-shingo.com/jiji/?page=1346)にも掲載されております。