pet「マリの喫茶室」

ウサギシリーズ(16) キョン

ウサギシリーズ(16) キョン

 

【キョン捕獲作戦】

先日、小池都知事が、大島の「キョン捕獲チーム」を結成すると発表した。しかも、チーム名を公募するという。

 キョンは、鹿を小さくしたような愛らしい動物である。だが、大島で繁殖しすぎ、アシタバを食べるなど被害が生じている。
 だから、駆除しなければならないという。
 しかし、それは人間の都合、仮に駆除しなければならないとしても、動物の命を奪うことは、苦渋の選択であるはずである。
にもかかわらず、公募でチーム名を募るとは、はしゃぎすぎである。小池知事、悪ふざけが過ぎませんか。
ペット殺処分ゼロを掲げながら、一方でキョンの殺戮。なんか矛盾を感じます。

いっそ捕獲したキョンを船で尖閣諸島に移住させたらどうだろう。尖閣諸島では、野生のヤギが暮らしているだけだし。
尖閣諸島の基金は、石原知事時代に集められ、14億円もあるが、今も使途が定まらないまま塩漬けになっている。

ちなみに大島は、人口8千万人の島、それに対し、キョンは1.6倍の1万3000頭もいるそうである。
人間よりも多い、増えすぎだと言いたいのだろうが、それを言えば、そもそも犬猫などのペットの数だって、既に子どもの数より多いのある。蟻の数なら天文学的かも。何が適正数量なのかは分からない。
猫なら避妊手術をして一代限りの命を全うさせるだろうに。キョンの命を守りながら、繁殖を防ぐ方法はないのだろうか。

ウサギも、キョン同様繁殖力が強い。
その上、大きさが手ごろで泣かないので扱いやすい。このため、動物実験、ファー、はたまた動物園の肉食獣の生餌にされたりする。
人間の都合で、動物の運命が変わる。
人間とは、かくも罪深い生き物である。


(キョン 2017年5月17日産経新聞より)