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23日執行 鎌倉市議会議員選挙 印象に残った二人の候補
21日、鎌倉市議会議員選挙(4月16日告示 4月23日執行 議員定数26名 候補者37名)を取材した。
JR大船駅周辺を回り、様々な候補者の演説を聞いてみたが、どれも同じ様なことを言っていて、政治家として訴えたいことは何なのかということが伝わってこない候補ばかりだ。
共産党は、「共謀罪反対」など、この日も安定した平壌運転を行っており、別の意味で印象に残ったが、今回は、特に心に残った二人の候補を取り上げたい。
一人目は、角田晶生(つのだ あきお)候補(無所属新人)。元海上自衛官の36歳。平成24年の選挙にも立候補したが落選している。角田氏は街頭演説で、議員定数は維持し、議員報酬の削減を訴えている。鎌倉市議会議員一人あたりの議員報酬年額は800万円。角田氏は「私はこんなに必要ない」と断言した上で、議員定数削減に反対する理由として、「地元の声が通りにくくなる。利権やしがらみ、組織票を持った人間だけが議会に入り、自分達の思い通りの政治を進めていく。その結果が、市民の声を全く聞かない今の鎌倉市の行政(に繋がっている)」と述べた。
角田氏は、昨年8月、鎌倉市議会に対し、議員報酬の削減を求める陳情を提出している。結果は、10月4日の市議会本会議で不採択となっている。
角田氏は、市民の声が無視されるのは市民の側にも原因があると指摘した。平成25年の鎌倉市議会議員選挙の投票率は44.99%だ。角田氏は、この投票率の低さが利権やしがらみ、組織票を持った人間が選挙に通りやすくなっている旨の主張を行った。
角田氏は、その他にも教育や子育ての問題について政策を訴えた。
印象に残ったもう一人の人物は、飯野眞毅(いいの まさたけ)候補(民進党元職)。衆議院議員秘書を経て、平成21年初当選。1期務めて、平成25年の選挙で落選。
やまと新聞が取材した際には、JR大船駅前で、帰宅する人々をターゲットに、スタッフがひたすら候補の名前を連呼し、候補者本人は手を振り、通行人に握手をすることを繰り返していた。
スタッフは「蓮舫さんも応援しています」と民進党・蓮舫代表の名前も出して訴えた。
確かに、候補者の名前を連呼し握手する、このやり方は選挙で勝つことを考えると効率がよいことは確かだが、本当にこれでよいのだろうか。地方でも国政でも、逆風状態である民進党に所属していることを隠して選挙戦に臨む政治家が多い中、自身の所属する政党の幟を立てて支持を訴えている点については評価するが、通行人には飯野候補の政策が伝わらないのではないか。
飯野氏の選挙公報を見ると、議会への外部監査制度の導入や、観光交通渋滞解消のための新たな交通計画の策定などの政策をあげている。
街頭で政策を訴える角田氏とは対照的な戦術だが、選挙は街頭だけではないので、民進党の候補であれば、有権者との対話をする集会も頻繁に開いていることだろう。
前回の選挙で涙を飲んだ二人の候補の戦いにどのような結末が待っているのか。結果に注目したい。
やまと新聞編集部 松原 久