rekidai「歴代天皇の詔勅謹解」
歴代天皇の詔勅謹解 第五回「初代神武天皇の詔勅(一)」御所市議会議員 杉本延博
今回は、初代神武天皇が御東征中に仰せになられました詔勅を謹解してまいります。
初代神武天皇
○天業恢弘東征の詔 (謹抄)太歳甲寅年 『日本書紀』三
是(こ)の時(とき)、運(よ)は鴻荒(あらき)に屬(あ)ひ、時(とき)は草昧(くらき)に鍾(あた)れり。故(か)れ蒙(くら)くして以(も)て正(ただしき)を養(やしな)ひ、此(こ)の西(にし)の偏(ほとり)を治(しら)せり。皇祖皇考(みおや)、乃神乃聖(かみひじり)にまして、慶(よろこび)を積(つ)み暉(かがやき)を重(かさ)ね、多(さは)に年所(としのついで)を歴(へ)たまへり。
神代三代は、日向地方を一百七十九萬二千四百七十餘年の長い年月にわたり、御統治なされた民にとって安寧と幸福が積み重なる御代でありました。
このような素晴らしいまつりごとを全国に宣布していくことが、皇祖御神勅の理想であります。
国の最中である大和橿原の地に宮を定めて、御神勅に基づいた正しいまつりごとを宣布していくため御東征の決意を御固めになられた詔であります。
詔(謹抄)の大意は「瓊瓊杵尊が御降臨なされた当時は、大昔の事であり、世は未開であった。国民の素朴な性質を養育して、正しい道に導いていくために、西方の国土を統治された。皇祖は神であり聖人だったことから慶びを積み徳の光を重ねられて悠遠の年月を経たせられたのである。」であります。
この詔では、正を養ひ(養正)・慶を積み(積慶)・暉を重ねる(重暉)皇道三綱と言われる大事な御教えをはじめ、神武御東征に向けた意義、理想を仰せになられています。
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