minsha 「とおる雑言」

日本は「空港・港湾拡充」を急げ 寺井融(母子福祉協会副理事長)

日経(二〇二三年九月二十九日付)一面トップに「防衛力強化へ空港・港湾拡充」の記事が載っていた。政府は国防の観点から三十三施設を選定し、整備に努めるという。

二千メートル級の滑走路を、大型輸送機も発着できる二千五百メートルを越える規模に延伸したり、大型船舶が利用できる喫水が深い港に改修したりするのである。いままで何をやってきたのか、と問いたい気持はさておき、喜ばしいことである。

日本は港湾・空港をはじめインフラの「量」はあるものの、「質」の面で心もとないものも散見される。建設される際、国防の観点が欠けているからである。

東日本大震災で、仙台空港が冠水したとき「東北自動車道が使えたらよかったのに」との声が聞かれた。韓国などの高速道路は滑走路に転用可能な設計となっている。もちろん諸外国の多くの地下鉄は、防空壕や避難所となるように設計されている。

「武器を持ってはいけない。戦争につながる」と国防を否定する人がいる。それなら、せめて「核シェルター整備や避難訓練の推進を」と思うのだが、自称・平和主義者たちは、それすらも乗り気ではない。しかも、その人たちは「北朝鮮が原潜保有を急いでいる」の報道に接しても平然としている。本来、自前の原潜保持も考えるべきなのだが。

民主主義国アメリカは〝国民の声〟に左右される。ウクライナへの武器支援の継続だって怪しくなってきた。有事の際、核保有国ロシア・中国・北朝鮮を敵にまわして米国は戦ってくれる?と心配するより、まず国防強化か。(「とおる雑言」二〇二三年十月)