shohyo「書評」

拉致被害者田中実・金田龍光さんを描いた演劇を収録した書籍「よそのくに」(晩聲社)7月7日発行予定  三浦小太郎(評論家)

7月7日、晩聲社という出版社から『よそのくに』という本が出版予定です。これは私が編集した本で、題名は、昨年、劇団こむし・こむさが上演した同じ題名の芝居からとったもの。本書にはその戯曲台本がすべて収録されています。他にも、北朝鮮による拉致問題にとりくんできた特定失踪者問題調査会の荒木和博氏、岡田和典氏、拉致被害者家族の増元照明氏らの原稿や座談会が収録されます。この本で取り扱われているのは、拉致被害者、金田龍光さん、田中実さんの問題です。

 

 2014年、北朝鮮は日本政府に対し、金田龍光さん、田中実さんの二人の拉致被害者の生存を伝えてきたのです(同時に、彼らは帰国の意思はなく、このまま北朝鮮に住むことを望んでいると伝えています)。

 

 そして、日本政府も、この連絡を事実上無視しました。当時の外務省担当者も、安倍首相をはじめとする政府関係者も、すべての拉致被害者が同時に帰国できない限り、部分的な交渉に応じていては、様々な取引に利用されるだけだと考えたのでしょう。その気持ちも理解はできます。しかし、この二人は、北朝鮮で「日本に帰りたい」などといえるわけはない。本来ならば一時帰国させ、ここ日本で意思を確認すべきではないでしょうか。事実上二人は、日本政府に見捨てられたことになります。

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