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【論説・コラム】債権者の視点から考える国家破綻のケース

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防衛予算の増額に伴う増税議論が自民党で喧しい。風見鶏だったはずの岸田文雄首相が、珍しく確固たる決意を示した政策が、よりにもよって有権者にも議員にも人気のない増税への既定路線であることから、下落が止まらない支持率に更なる追い打ちとなっている。

 

岸田氏の視点に立って考えた場合、5月に地元広島で開催する主要国首脳会議(G7サミット)は自身最大のレガシー(功績)として何としても首相として成功させたい。しかし、現状の支持率推移と、長男の首相秘書官起用や党と宗教団体との関係性を糾弾する世論、緊張感を増す台湾情勢等々、今後の展望を見ても好材料よりも悪材料が目立つ暗夜行路の道中にある。

 

民主党政権末期の野田佳彦元首相と同様に、自らの辞職を不人気政策と「心中」することで後世への評価を託したいとの思いが芽生えている可能性がある。そこまでの覚悟もなく、派閥内や親族に多いとされる財務省関係者が入れ知恵している可能性もある。いずれにしろ、同氏の基本スタンスは財政規律派であり、1,000兆円を超える政府債務は国家破綻への道と考えていることは間違いない。だから、「防衛予算の増額は国債発行で賄えば事足りる」とするリフレ派やMMT(Modern Monetary Theory)派の主張と真向からぶつかっている。

 

では、主な国債保有者である国内金融機関や保険・年金基金の側から見た場合、早めに国債の保有残高を減らしたいと考えているのかどうか。その保有残高は2016年以後、借り換えを続けて金利を受け取る形となり、安定的な利回りを享受しているといえる。代わって日銀はこの5年余、異次元緩和の主たる債権者として新発国債を保有し続け、昨年9月末時点で発行残高1,066兆円の過半となる536兆円を保有している。

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